THE SPECIAL ONE - CASIO CALCULATOR S100

DEVELOPMENT STORY

今までにない
プレミアムな電卓を創りたい!

商品企画担当[大平啓喜]
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デザイン担当[宇都宮 亮]

商品企画担当 大平啓喜(写真右)

1992年入社。機構設計を経て、製品を具現化・詳細仕様を決定する実装企画を担当。これまでに、数々の電子文具を開発し、現在は電卓の商品企画に携わる。今回のS100の開発では、プロジェクト全体を取りまとめる役割を担った。

デザイン担当 宇都宮 亮(写真左)

1999年入社。これまでに、数多くの製品の外観デザイン、ディレクション及び新製品企画の業務に携わる。現在は、主に電卓・システム製品を担当。今回のS100の開発では、商品コンセプトの策定から関わるとともに、プロダクトデザインを通して、その製品思想を具現化した。

001型

この度、発売された新製品「S100」は、半世紀にわたって電卓の進化を牽引してきたカシオの技術と誇りが結実したスペシャルな逸品。開発プロジェクトのキーマンである商品企画担当の大平啓喜、デザイン担当の宇都宮亮の両氏に、S100誕生までの道のりやその魅力について語り合ってもらいました。

目指したのは、カシオ電卓の正統進化

 
お二人はゴールデンコンビとして、これまでに数々の電卓を開発されてきたと聞いています。
大平
確かにいろいろな電卓の開発をいっしょに担当してきましたね。
宇都宮
私は3年ぐらい前から電卓のプロダクトデザインに携わるようになったのですが、それ以降にカシオが発売したほぼすべての電卓は、大平さんとのコンビで開発したものです。
 
そして今回、S100もお二人の作品のひとつに加わりました。まずは、S100のようなこれまでにない高級電卓を開発するに至った背景についてお聞かせください。
大平
S100の開発プロジェクトは2014年初め頃より始まったのですが、まず私たちプロジェクトチームが取り組んだのは、肝となる商品コンセプトを固めること。当初はどの程度の価格にするかという条件さえなかったため、いつも以上に自由な発想でコンセプト作りにのぞめたと思います。商品企画やデザイン、営業といった開発メンバーが、それぞれの立場から電卓にとっての高級感とは何かを突き詰めて検証し、それらを取りまとめて出た結論は、カシオ電卓としての「正統進化」を目指すこと。当初は、ぱっと見てこれまでとまったく異なる新しい電卓、例えば丸いカタチのものといった様な斬新なアイデアも検討しましたが、それは違うという結論に達しました。
宇都宮
カシオには半世紀にわたって培ってきた電卓づくりの様々なノウハウがあります。そうした資産を活かさず、奇をてらっただけの製品ではカシオが創る意味が無いですからね。

新たな電卓文化の創出へ

 
「正統進化」という商品コンセプトを具現化するにあたり、こだわったポイントや苦労した点をお教えください。
宇都宮

アルミニウム合金から削り出される表面ボディ
カシオ電卓としての「正統進化」とは、いうなればカシオのDNAを強く残すということ。そうなると 、必然的にデザインは見慣れたものになりがちです。しかし、S100という製品は特別なものでなくてはならず、新規性という要素も欠かせません。DNAと新規性とのバランスをいかにとるか。製品デザインとしてはその部分に最も苦労しました。そこで、こだわったのがプロダクトとしての質感です。S100では、従来のプラスチック筐体からアルミニウム合金切削ボディを採用することで、フラッグシップに相応しい硬質感・重厚感を演出しています。
大平
先行して作った試作品では、ボディを1つ切削するのに、24時間もかかってしまうことが判明。これではコストがかかりすぎるということで、当初は一枚のアルミ合金だけで筐体を作る予定を表裏で分割したという経緯がありました。その点については宇都宮さんにも納得してもらえたのですが、アルミ切削の表面ボディとアルミプレスの裏面ボディを滑らかにつなぎ合わせることについては宇都宮さんの強いこだわりを感じましたね。頑として譲らなかったですから。
宇都宮

滑らかに合わさったボディ外周
通常アルミをはめ合わせる場合、切り立った端面でユーザーが手を切らない様に、その部分を覆い隠す必要がありますが、それを普通にやると合わせ部分に段差が付いてしまいます。表面と裏面が流れるような一体感をもって構成されていること。それこそが、S100を“THE SPECIAL ONE”にするデザインの肝であると考えていましたので、絶対に譲れない部分だったのです。大平さんはそうしたデザイナーとしてのこだわりを十分に理解し、試行錯誤の上、切削した断面をさらに削って角度をつけることにより、私のイメージ通りの筐体を作り上げてくれました。
大平
通常のアルミ合金を使った商品で、これほど滑らかな合わせ部分をもつものはそうないと思います。かなり大変な作業ではありましたが、完成したS100を見るにつけ、表面と裏面の流れるような一体感がただの実用品ではあり得ない存在感を醸しだしていて、苦労した甲斐があったと思っています。
宇都宮
S100の開発に当たり、私は電卓を高級時計や眼鏡のように嗜好品として身につける新たな文化を創り出したいと考えていました。そのためには、より多くの数が売れて人々に認知してもらわなければならず 、コストをかけすぎて販売価格が高くなりすぎると、そのことが叶わなくなってしまいます。電卓による新たな文化の創出に挑戦する高級電卓として、このクオリティならこの値段と皆様にご納得いただける価格も実現できたと考えています。

電卓はついに実用品から嗜好品へ

 
約2年の開発期間をかけて完成したS100がいよいよ発売されます。あらためて、S100に込めた想いをお聞かせください。
大平
S100は、実用品一辺倒だった電卓のイメージを変える製品です。所有する悦びを実感できる嗜好品として、電卓に新たな価値をもたらすものに仕上がったと自負しています。また、これまではプレゼントとして電卓というのは考え辛かったかもしれませんが、S100は贈り贈られる悦びも叶える初めての電卓として開発しました。そのため、スペシャルパッケージもご用意し、贈る悦び、手にする悦びを約束するべく、上質感あふれるデザインにもこだわりました。一方で、入力の快適性や表示の視認性など、これまでカシオが追求してきた電卓としての使いやすさに関しても格段の進化を遂げています。
宇都宮
このページを読まれている方の中には「電卓にデザイン?」と思う方もおられるでしょう。しかし、どなたのデスクの上にも1台は電卓があるはず。また、対面営業の場で使用する方も少なからずおられることでしょう。そう考えると、自身のアイデンティティやグレードを表現するのに、電卓は最適な製品だということがお分かりいただけるのではないでしょうか。今までにない質感で洗練された雰囲気を醸し出すS100は、自分を演出する嗜好品として必ずやご満足いただけるはずと確信しています。また、今までは、持っている小物は全部洒落ているのに、電卓だけは打ちやすさが第一だからということで、デザインや高級感は仕方ないと目をつぶらざるを得なかった方も多くいらっしゃったかと思います。S100を見て自分にふさわしい電卓がやっと出たと思っていただけたら、開発者としてこれほどうれしいことはありません。
大平
S100は、電卓にこだわってきたカシオだからこそできた製品。ぜひ、本製品をお気に入りいただき、末長くご愛用いただけたら幸いです。