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軽減税率対応:「1分ロープレ」の実施でスタッフの対応力を強化する

軽減税率導入時は「店舗スタッフの対応力」が勝負の分かれ目

軽減税率が導入されると、ご存知の通り、「酒類及び外食を除く飲食料品」と「新聞」が軽減税率対象品目となります。この軽減税率の導入、飲食店経営者にとっては、対応すべき項目が多すぎること、その割には準備期間が短すぎるということで、すでに懸念の声が多く上がっています。

海外ですでに軽減税率を導入している国では、色々な問題や混乱が現場で起きています。基本的に、ファストフード店では「店内で食べれば外食」「持ち帰り(テイクアウト)にすると食料品」となるケースが多いようですが、このように明確にできないルールを設定している国も多くあります。

例えばカナダでは、「ドーナツを購入する際に5つまでなら外食扱いで標準課税の10%」「6つ以上ならば食料品扱いとなり、税率はなんと0%」となるそうです。現地の方は慣れているので、5つしかドーナツが要らない場合でも6つ買って安くするなどのワザを使うそうですが、外国人観光客にはそんなルールは知られていません。ドーナツを5つだけ買って、レシートを見てから軽減税率について知り、「やっぱり6 つ買う」などと言い出すことで、レジが混雑したり、店員とトラブルになったりするケースも多いようです。

今のところ(2016年2月現在)、日本政府からはこれら軽減税率の「具体的線引き」についての情報が出てきていませんが、軽減税率導入時に現場が混乱することは間違いがありません。日本人は「国民全員が軽減税率初心者」であるがために導入初期は大混乱が予想される中、最近報道されている外国人観光客、特に中国人の方々の「爆買い」がこれに加わるとどうなるでしょうか?

「計算が合わない」「返金しろ」「やっぱりいらない」「この店は人によって税率を変えるのか」「2人で合計6つ買うのだから税率を安くしろ」など、予想をはるかに上回るような要望やクレームがお客様から飛んでくることとなり、現場スタッフはこの対応に追われることとなるでしょう。

混乱を避けるためには「1分ロープレ」の実施が不可欠

では、軽減税率導入時の現場(レジ)での混乱を避けるためには、どのよう な準備をしておけば良いのでしょうか?その答えが「1分ロープレ」です。1分ロープレとは、難しい場面設定をせずに、「1分程度で終えられるロールプレイング(現場での役割を演じる模擬訓練)」を実施することです。

例えば、「今ドーナツを5個買ったけど、やっぱり6個に変更して」とドーナツを購入したばかりのお客様がレジに戻ってこられたケースを、疑似体験させるのが1分ロープレです。軽減税率に対応しているレジの場合、「ドーナツ6つ以上は8%、ドーナツ5つ以下は10%」と消費税率を事前設定しておくことが可能なはずです。でも、一度5つでレジを通した後に、やっぱり6つにして、と変更依頼が来た場合にはどのように対応すべきなのでしょうか?一度5つのドーナツ購入をキャンセルして、改めて6つを購入してもらったことにしなければ、税率8%は適用されないでしょう。5つの購入にプラスして1つを追加購入する、というレジ動作では6つ分全てに10%が標準課税されてしまうはずです。

これらは、頭では分かっているつもりでも、現場でお客様からプレッシャーをかけられると、つい焦って誤った対応をしてしまいがちです。返金依頼が来て、そのお客様に対応する。その間にもお客様はどんどんレジに並ばれ、それを見たスタッフの頭は真っ白になってしまう・・・

このようなことの無いように、「想定される現場での対応」を1分ロープレで何度も何度も「頭ではなく体に」叩き込むことが重要と言えるでしょう。

軽減税率導入に関して政府に文句を言っていても売上は上がりません。経営者としては、現場で混乱を避けるために1分ロープレを徹底すること、またあらゆる場面を想定して「FAQ(よくある質問とその答え)を作成しておくこと」が必要となります。

同じチョコでもカカオの含有量で税率が変わるフランス。新学期のシーズンのみ衣料品に税金がかからない地域があるアメリカ。同じフィッシュ&チップスでも、店舗でアツアツを食べれば標準税率、惣菜屋で持ち帰れば軽減税率適用のイギリスなど、私たちの身近な国でも、軽減税率関連ではびっくりするようなルールがたくさんあります。

今後日本政府がどのような「ルール」を設けるかは分かりませんが、「それは無理があるだろう」と文句を言っていても1円も儲かりません。決められたルールに則って、いかに現場で混乱を起こさず、お客様に不満足を感じさせないかがポイントとなります。ぜひ現場を円滑に回すためにも、早いタイミングから1分ロープレを実施するようにしてください。

2016年6月

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