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インボイス制度とは?私のお店はどうすればいいの?

1はじめに

2023年10月から、消費税の仕入税額控除の方式として「適格請求書等保存方式」いわゆる「インボイス制度」が導入される予定になっています。インボイス制度は、約513万者(個人435万者、法人77万社)と推計されている免税事業者に深刻な影響を及ぼすといわれています。当社のレジスターをお使いの方の中にも、「何をどうすればよいの?」と心配されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで本コラムでは、飲食店・小売店などを営まれている方向けに、2020年1月時点で公開されているインボイス制度の情報から想定できる課題と、どのような対応を検討すればよいかを解説します。

2消費税の基本的な仕組みと益税問題

消費税が議論される際、常に問題視されるのが「益税問題」です。 消費税の基本的な仕組みである「本則課税」は、自者(社)が課税対象取引で受け取った消費税(仮受消費税)と支払った消費税(仮払消費税)の差額を、納税するというものです。

例えば

  • 消費税率が一律10%で、売上が1億円(仮受消費税1,000万円)、仕入・調達で5,000万円(仮払消費税500万円)の場合
  • 仮受消費税1,000万円 - 仮払消費税500万円 = 500万円が納税する金額になります。

ただ、消費税の中小・小規模事業者向けの特例として、年間の売上が5,000万以下の事業者では「簡易課税制度」を、1,000万以下の事業者には納税義務の免除「免税事業者」を選択することができ、それによる益税が問題になっています。


簡易課税制度においては、自者(社)の売上に、事業・業種別の平均的な”みなし仕入率”を乗じることで仮払消費税を算出し、納税額を決定できます。その事業・業種別の事業区分は以下の通りとなっています。


簡易課税制度の事業区分の表
事業区分 みなし
仕入率
該当する事業
第一種事業 90% 卸売業(他の者から購入した商品をその性質、形状を変更しないで他の事業者に対して販売する事業)をいいます。
第二種事業 80% 小売業(他の者から購入した商品をその性質、形状を変更しないで販売する事業で第一種事業以外のもの)をいいます。
第三種事業 70% 農業(※)、林業(※)、漁業(※)、鉱業、建設業、製造業(製造小売業を含みます。)、電気業、ガス業、熱供給業及び水道業をいい、第一種事業、第二種事業に該当するもの及び加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を除きます。
※令和元年10月1日を含む課税期間(同日前の取引は除きます。)からは、農業、林業、漁業のうち、消費税の軽減税率が適用される飲食料品の譲渡に係る事業区分が第三種事業から第二種事業へ変更されます。
第四種事業 60% 第一種事業、第二種事業、第三種事業、第五種事業及び第六種事業以外の事業をいい、具体的には、飲食店業などです。
なお、第三種事業から除かれる加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業も第四種事業となります。
第五種事業 50% 運輸通信業、金融・保険業 、サービス業(飲食店業に該当する事業を除きます。)をいい、第一種事業から第三種事業までの事業に該当する事業を除きます。
第六種事業 40% 不動産業
図表出所:国税庁HP No.6509 簡易課税制度の事業区分

この表によると小売店の場合は第二種事業に属しその”みなし仕入率”は80%、飲食店の場合は第四種事業という区分になり”みなし仕入率”は60%となります。例えば小売店で、

  • 消費税率が一律10%で、売上が4,000万円(仮受消費税400万円)の場合
  • 4,000万円にみなし仕入率80%を乗じた3,200万円が”みなし仕入額”となり、その10%の320万円が仮払消費税になる。
  • 仮受消費税400万円 - 仮払消費税320万円 = 80万円を納税
となります。

従って、実際の仕入額が3,000万円(仮払消費税300万)の場合は、本則課税では100万円(400万円-300万円)納税することになるので、簡易課税を選択していれば20万円分益税となり、
また、実際の仕入額が3,500万円(仮払消費税350万円)の場合は、本則課税であれば50万円(400万円-350万円)の納税で済むので本則課税にするといったように、有利な方を選択することができます。


そして、免税事業者にあっては、消費税を納付する必要がありません。例えば飲食業で、その仕入率は先ほどの簡易課税の表と同じ60%の場合、

  • 消費税率が一律10%で、売上が1,000万円(仮受消費税100万円)、仕入・調達で600万円(仮払消費税60万円)の場合
  • 本則課税では仮受消費税100万円 - 仮払消費税60万円 = 40万円納税しなくてはならないものが、納税義務の免除により全額益税になる

となります。これを狙って、実際には3,000万円売上のある事業者が3法人を準備し売上計上を分散させ、各法人の売上を1,000万円にすることで納税を免れるという悪質なものを含め、免税事業者が約513万者も存在する点が、「消費税の益税問題」です。

3インボイス制度の概要

その消費税が、2023年10月に予定される「インボイス制度」が始まるとどう変わるかみてみましょう。現在想定されているインボイス制度の要点は、

  • 課税事業者は、税務署長に申請して登録を受けた課税事業者による「適格請求書発行事業者」が交付する「適格請求書」でなければ、仮払消費税を全額計上できない(経過措置として、適格請求書発行事業者以外の事業者(つまり、免税事業者)が発行する請求書の消費税については2026年9月30日までは80%、2026年10月1日から2029年9月30日までは50%を仮払消費税として計上できる)
というものです。

よって、現状約513万者存在する免税事業者は、免税事業者にとどまるのか、課税事業者に転換するのかを判断する必要があります。 それでは、具体的に飲食店・小売店などを営まれている免税事業者の選択肢を考えてみましょう。

4影響が小さいと想定されるケース“個人客がほとんどの場合”

インボイス制度は、課税事業者が、課税事業者から適格請求書を受け取れないと困る制度です。一般の消費者には、仮受消費税と仮払消費税の差額を計算し、差額を納付するという手続はありません。よって、もしあなたのお店のお客様のほとんどが個人のお客様の場合は、免税事業者のままでもご商売への影響が少ないと考えられます。
ただし、現状の個人の確定申告でも、セルフメディケーション税制による所得控除制度があり、そのためには領収書・レシートの添付が必要という要件があります。2023年分の個人の確定申告において、どのような所得控除が存在するかは分かりませんが、もしその確定申告であなたのお店が取り扱っている商品やサービスが関連するようになり、かつ要件に適格請求書の添付が含まれている場合には、課税事業者への転換は避けられないでしょう。

5影響が大きいと想定されるケース“法人のお客様が多い場合”

繰り返しになりますが、インボイス制度は、課税事業者が、課税事業者から適格請求書を受け取れないと困る制度です。ということは、例えば近所の企業の事務員さんがしょっちゅう買い物にきている文房具店さんや、接待や宴会で利用されることの多い飲食店さんは、課税事業者に転換しないと、ご商売への影響は大きいと考えられます。
少し話は逸れますが、この観点からインボイス制度でもっとも深刻な懸念があるのは、企業を相手に活動している、デザイナーやプログラマーといったようなフリーランスの個人事業主と考えられます。もしご家族やお知り合いに該当する方がいれば、留意しておいたほうがいいでしょう。

6課税事業者(適格請求書発行事業者)になると、仕入れが課題になる

さて、様々検討した結果、課税事業者(適格請求書発行事業者)になることを選択した場合、今度はあなたが課税事業者から適格請求書を受け取れないと困ることになります。ということは、仕入れが課題になる可能性があります。
例えば、めずらしい1点もののアイテムを個人の作家さんから買い上げて販売している小売店さんや、厳選された食材を小規模な農家さんや猟師さんから直接仕入れて販売していて、それがお店の差別化要素になっている場合です。
この場合、仕入れ先の作家さん、農家さん、猟師さんに課税事業者(適格請求書発行事業者)になってもらわないと、あなたのお店が仮払消費税を計上できないことになります。もちろん、仕入れ先が商売に積極的であれば自ずと課税事業者になってくれるかもしれませんが、それを嫌気し廃業されてしまう場合には、自分のお店の有力な仕入れ先を失うケースも考えられます。よって、こういったことも念頭に仕入れ先とコミュニケーションを取りながら、中長期的な商品の安定調達ということにも目を配る必要があります。

7まとめ

以上、本コラムでは2020年1月時点で公表されている情報をもとに、2023年10月に開始が予定されているインボイス制度が小売店・飲食店にどのような影響を及ぼすか解説しました。なお、インボイス制度を推進するために、今後政府は制度設計の微調整や補助施策を講じる可能性がありますので、自分のお店への営業にどう影響するか、注意深く動向を見ていく必要があります。当サイトでも、継続して情報提供をさせていただければと考えています。

2020年1月

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