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ビーガンの方や各国の宗教に対応するメニューづくりの注意点まとめ
最近よく耳にするようになった「ビーガン」。ビーガン主義の人は肉や魚、卵や乳製品をいっさい摂取しないだけでなく、動物由来の素材が使われた衣類なども着用しません。
政府は、2022年10月から外国人観光客の個人旅⾏を受け入れており、2023年は、円安の影響を受けて外国人観光客による消費、すなわちインバウンド消費が復調し、GDP(国内総生産)を0.4%押し上げる見通しです。その中で、ビーガン主義の人も多く日本にやってくることが考えられます。
そこでこのコラムでは、ビーガンの方や各国の宗教に対応するメニューづくりのポイントを詳しく解説します。
- 1.そもそもビーガンって?
- 2.食事の制約がある主な宗教、信念
2-1.イスラム教
2-2.ヒンドゥー教
2-3.ベジタリアン - 3.メニューづくりの注意点と接客時のポイント
3-1.ビーガンやベジタリアンの方の場合
3-2.ムスリムの方の場合
3-3.ヒンドゥー教の方の場合 - 4.まとめ
目次
※本記事ではできる限り正確な情報記載に努めておりますが、本記事でご紹介している各宗教に関する食文化や制約について、その内容を保証するものではございません。
1そもそもビーガンって?
ビーガンとは、簡単に言えばベジタリアンの一種です。動物由来の食品や製品のいっさいを避けて生活している人のことを指します。
ビーガン主義の人たちは、肉や魚、卵、乳製品、はちみつなどが使われている食品は摂らず、毛皮やウール、シルクなどが使われている衣服も着ません。ベジタリアンは、卵や乳製品を食べるかどうかは本人の選択に委ねられていますが、ビーガンでは上述の通り、卵や乳製品も食べません。
詳しくは後述しますが、ビーガンの人にとっては牛の骨や豚の骨、魚からとった出汁、白砂糖などもNG食品にあたるため、メニューづくりには細心の注意を払う必要があります。
外国人観光客の増加に伴い、飲食店にはビーガンやベジタリアン、イスラム教徒など、食に対する制約を持つ方々が来店される機会が多くなることが予想されますが、「どのように対応すればよいの?」と悩まれている飲食店経営者の方もいらっしゃることでしょう。
2食事の制約がある主な宗教、信念
ビーガンのほかにも、世界には食事の制約がある宗教、信念が多数存在します。ここでは代表的なイスラム教、ヒンドゥー教、ベジタリアンを例にとって説明していきます。
2-1.イスラム教
イスラム教は仏教、キリスト教と並ぶ世界三大宗教の1つ。イスラム教には独自の法律(イスラム法)があり、通称ムスリムと呼ばれるイスラム教徒の人々は、この法律で合法(ハラール)とされている食べ物しか口にしません。
合法とされている食べ物には主に、魚や野菜、果物、穀物、豆類などがあります。一方、非合法(ハラーム)とされている食べ物は豚肉やアルコール、イスラム法にのっとって処理されていない食肉、血液などです。
とりわけ豚肉については厳しく禁じられており、豚に触れたり、豚由来の成分が含まれていたりする食品はすべて禁忌となっています。
ちなみに処理方法がわからない牛肉や鶏肉、成分由来がわからない調味料などはシュブハと呼ばれ、ムスリムの人たちはこれらも避ける傾向があります。
2-2.ヒンドゥー教
ヒンドゥー教はインド発祥の民族宗教です。ヒンドゥー教では、食材や食べ方(誰と一緒に食べるかなど)、食事の時間などを非常に気にします。特に肉食と菜食の区別がはっきりしていて、ノンベジタリアンの人と一緒に食事することを好まない人もいます。
ヒンドゥー教では上述の通り肉食が避けられますが、中でも牛は神聖な動物として崇拝されているため、食べることを禁じられています。また豚や魚介類、卵、生ものなども口にしません。
さらに厳格なヒンドゥー教徒では、五葷(ごくん)と呼ばれるニンニク、ニラ、ラッキョウ、玉ねぎ、アサツキも食べることを禁じられています。
唾液によって穢れがうつるとも考えられているので、食器は使い捨てが一番きれいであるという意識を持っている人も多いようです。
2-3.ベジタリアン
ベジタリアンとは、1847年に英国ベジタリアン協会が発足したときに、はじめて使われた言葉です。「健全な、新鮮な」という意味のラテン語「vegetus」に由来します。
ひとくちにベジタリアンと言っても、実はさまざまな種類があります。NPO法人日本ベジタリアン協会によれば、ベジタリアンは大きく次の4つのタイプに分けられるそうです。
【ビーガン、ダイエタリー・ビーガン、フルータリアン】
動物由来の食品を食べない、動物由来の製品を使わない生き方をしている人をビーガンと言います。一方で、食べ物に限定してビーガンのスタイルをとっている人は、ダイエタリー・ビーガンと呼ばれます。また、主に果実や種子だけを食べる人たちのことをフルータリアンと言います。
【ラクト・ベジタリアン】
植物性の食品と乳製品などを食べる人たちのことを指します。
【ラクト・オボ・ベジタリアン】
植物性の食品と乳製品、卵を食べる人たちのことを指します。ちなみに欧米のベジタリアンのほとんどが、ラクト・オボ・ベジタリアンだと言われています。
【その他】
植物性の食品と乳製品、卵、魚を食べるペスコ・ベジタリアンや植物性の食品と乳製品、卵、魚、鶏肉を食べるポーヨー・ベジタリアンなどもあります。ただし、これらは学術上の分類であり、国際ベジタリアン連合では認められていません。
出典:ベジタリアンとは?|NPO法人日本ベジタリアン協会
3メニューづくりの注意点と接客時のポイント
ビーガンやベジタリアン、イスラム教徒やヒンドゥー教徒の方が食べられない食材についてわかったところで、それらに対応するメニューづくりの注意点や接客時のポイントなどを見ていきましょう。
3-1.ビーガンやベジタリアンの方の場合
ビーガンを含むベジタリアンに一律の食事マナーやルールは存在しませんが、肉や魚、卵、乳製品を使ったメニューは控えたほうが無難です。またビーガンでは、牛や豚の骨、魚からとった出汁、白砂糖なども食べられない食材に該当します。
白砂糖は、さとうきびから原料糖を絞り出し、不純物を取り除いて結晶化させてつくられますが、この過程で動物の骨が用いられているため、NG食材になるのです。白砂糖の代わりに、きび砂糖やてんさい糖を使うようにしましょう。
ちなみに、精進料理を参考にするのも1つの方法です。精進料理は、肉や魚を使わず、野菜類や穀類、海藻類、豆類、木の実、果実だけでつくられるため、ビーガンやベジタリアンの考え方と通ずるものがあるからです。
なお、宗教上の理由でベジタリアンになった人の中には、じゃがいもやにんじんなど、地中の野菜類は収穫する際に小さな生物を殺生してしまうおそれがあるため、食べることを禁じられているケースがあります。
野菜なら何でもOKというわけではないので、オーダー時に確認すると喜ばれるでしょう。
3-2.ムスリムの方の場合
もっとも気をつけなければならないのが豚肉です。豚肉そのものだけでなく、ブイヨンやゼラチン、肉エキス、ラードが使われた料理は食べられないため、植物性のもので代用しましょう。さらに、豚肉を調理した鍋でつくられた料理もハラームに該当するので、注意が必要です。
中には、豚の姿を見ることさえ嫌がる人もいます。ムスリムの方向けのメニュー表には、豚の写真やイラストを載せるのは控えたほうがよいでしょう。
また、豚肉に次いで禁忌とされているアルコールには、ドリンクだけでなく料理酒やみりん、香りづけのためのワイン、お菓子に使われるリキュールなども含まれるので要注意です。
宗教上、禁止されているわけではありませんが、うなぎやイカ、タコ、貝類の提供も避けたほうが無難です。刺身や寿司など、生魚が苦手な人も多いと言われています。
ムスリムの人たちは、豚肉やアルコールに加えて、ハラールかハラームの判別ができないシュブハに該当する食材は基本的に避けます。あらかじめ、料理に含まれる食材を説明しておくとスムーズでしょう。
なお、東京都産業労働局では「ムスリム等多様な文化・習慣に関する受入環境整備事業」の一環として『ムスリム旅行者おもてなしハンドブック』や『ムスリム観光客受入対応BOOK』などを公開しています。ぜひ、参考にしてみてください。
出典:ムスリム旅行者おもてなしハンドブック|東京都産業労働局観光部受入環境課
出典:ムスリム観光客受入対応BOOK|東京都産業労働局
3-3.ヒンドゥー教の方の場合
ヒンドゥー教徒は牛肉や豚肉を含む肉全般を避ける傾向がありますが、社会的地位が高い人ほど、その傾向が顕著です。魚や卵、牛や豚の骨からとった出汁なども禁忌の食材にあたります。そのため日本食では、野菜や豆腐を中心としたメニューが好まれるようです。
ベジタリアンとノンベジタリアンの区別がはっきりしているため、事前に確認しておくと安心です。また、他人と食器を共有することも嫌がられます。大皿料理や鍋料理など、複数人でつつきあって食べるメニューは提供しないほうが無難です。
ちなみにヒンドゥー教では、カースト(身分制度)によって食に関する禁止事項が異なるので、オーダー時に訊ねるとよいでしょう。
また、右手は神聖な手、左手は不浄な手と認識されているため、配膳の際は右手を使うことを心がけましょう。
4まとめ
ビーガンやベジタリアン、イスラム教やヒンドゥー教の方々は食に対する制約があるため、おもてなしするのが難しいと感じられるかもしれません。けれども、せっかく来店してくれたからには、楽しく食事をして欲しいものですよね。
ビーガンの方や各国の宗教に対応するメニューづくりに悩まれたときは、ぜひ、本コラムを参考にしてみてください。
※本記事ではできる限り正確な情報記載に努めておりますが、本記事でご紹介している各宗教に関する食文化や制約について、その内容を保証するものではございません。
2023年3月
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