西荻東銀座会 様
来街者調査を契機に、商店街に新たな発展を。
JR西荻窪駅から南へわずか1分。西荻東銀座会は、約65の店舗が所属する近隣型商店街として、地元の方々に親しまれています。さらに近年では商店街内に大型スーパーも開店するなど、時代の流れとともにその姿も少しずつ変化を見せる中、これからの商店街づくりの指標とすべく、カシオの商店街DX推進プロジェクトのひとつである来街者調査が行われました。
JR西荻窪駅南口の商店街 「西荻東銀座会」
街づくりへのヒントを求めて調査を導入
今回お話をいただいたのは、ご夫婦で書店を経営され、ご主人が西荻東銀座会の会長もされている原田直子氏と、地元で95年続く酒店の鴨志田知史氏。お二人とも、来街者調査を推進された主要メンバーです。
最初に、お二人へ調査を導入した狙いからお伺いすると、「実は以前から、商店街の人流に“肌感覚と実際の状況に差があるのでは”という疑問がありました」と鴨志田氏。「これを解決し、来街者の流れや層などをはっきり知ることができれば、これからの商店街を輝かせるヒントになると考えました。最初は“ビーコンってなんのことだろう?”と言うレベルで不安もありましたが、とても手軽にできることを知り、これならという思いで検討を始めました」。
本プロジェクトの来街者調査は、商店街の数カ所に設置されたビーコン端末が来街者が持つスマホを自動で検知し、持ち主の性別や年代、居住地などの情報を取得※。さらにその方が商店街を訪れた日時や頻度、回遊情報なども自動で集計するため、手間をかけずに多様なデータを知ることができます。
続けて原田氏も「昨年、商店街に大型スーパーが出来たのですが、その集客力と、そこから買い物客がどう流れるのかを知りたいと思っていました。そこへ別の商店街の理事からカシオのプロジェクトを紹介され、導入に向けた検討を始めました」と、具体的な目的をあげてお話しくださいました。
※個人を特定できる個人情報は取得しておりません。提携アプリの登録情報や過去のオフライン行動のログから推察した見なし属性となります。
インタビューにお答えいただいた原田直子氏(左)と鴨志田知史氏(右)
街の特徴を把握し、同時に課題も認識。
実際に行われた来街者調査では、得られたデータから、すでにいくつかの気づきが生まれています。
大型スーパー開店の影響をつかみたかった原田氏は、「多くのお客様は、細い脇道を利用してスーパーに来店し、帰りも同様のルートでメインの通りに出ていることがわかりました。ですから、今後は人通りの増えたこの脇道の動線上で、何か施策を打つことを検討しようと思っています。それと、地元密着の商店街といえども、遠方から訪れる来街者がいることもわかりました。これからは、情報発信をより広く行おうかと考えています。」と、その成果を話されました。
鴨志田氏も続いて、「来街者は比較的年齢層が高く、45歳以上が7割弱も占めていることがわかりました。人流のピークは夕方の17時から18時で、その時間帯は学童や保育園のお迎えなど、帰宅する子育て世代が多かったです。それに、通勤・通学の人も多く通りますが、これは必ずしもお買い物に結びついていないように思えるので、一つの課題と考えています」と、情報を分析されていました。
フリーぺーパー「西荻東銀座MAP」
AIBeaconを商店街の両入口と大型スーパー付近に設置
イベント時の効果測定にも強いビーコン調査。
西荻東銀座会は、もともと毎月第3日曜日に開催されていた神明通り朝市が人気で、いつも大きな賑わいを見せていました。現在は残念ながらコロナ禍で休止していますが、その波が落ち着いてきたことから、今年は内容を少しコンパクトにし、名称も新春初市として新たなイベントを開催。そこで商店街として初めて、イベント開催の効果を測定することができました。
原田氏はこれについて「神明通り朝市より規模を縮小しましたが、それでも通常時の1.5倍から1.8倍もの人出があったことがわかりました。それに、普段は商店街の平均滞在時間が14分と短いのですが、イベント中は59分と大幅に伸び、長く滞留して楽しまれる方が多いこともつかめました。こうして数値ではっきりイベントの効果を確認できたことは、各店舗のモチベーションアップにもつながりますし、とても有意義だったと思います」と評価するとともに、「以前、補助金申請のため手作業で人流を測定したことがあるのですが苦労をしました。ですからイベント時となればそれは困難と思っていたのですが、ビーコンでの調査は手間もなく行えて助かりました」と、利便性についてもご満足をいただいている様子でした。
来街者データの分析例(グラフ・数字はイメージです)
集客向上に貢献した新春初市の風
報告会での気づきが、 皆で街を考える契機に。
続いて、商店街向けに開催された調査の報告会につきまして、原田氏は「細かいデータまで説明いただき、こんなことまでわかるのか、という驚きがありました。今後は、これをきっかけに商店街の結束を強めて、一緒に頑張ろうという気運を作っていけたらいいですね」と嬉しいお答えが。
鴨志田氏も、「ここがどのような街なのか、あらためて知るいい機会になりました。今、どうやって自分の店をアピールすればいいのかわからないお店も多いと思いますし、新規開店でまだこの街をよく知らないお店もあると思うので、今回のデータを活用した勉強会を開催してみたいと思いました」と、独自のアイデアも含めたご感想をお聞かせくださいました。
これからも、子供からお年寄りまで多くの方々に愛される、地域に根ざした商店街を目指して行きたいと揃って話された原田氏と鴨志田氏。その目標に向け、デジタルを上手に利用した商店街の活性化を、カシオがサポートして行きます。
様々な分析データが示された報告会