現在、日本社会は急激に多文化化している。
多様性を内包する社会は、より豊かであると同時に、多くの課題と向き合わなければならない。
カシオ計算機と武蔵野美術大学が産学連携で取り組むにっぽん多文化共生発信プロジェクトは、
日本における多文化共生社会の実現へ向けた取り組みを取材し、
そこでの気づきをさまざまな形で社会に発信・共有するプロジェクトです。
活動を通じて、多様性を尊重する社会をつくるための議論の場を広げることをめざしています。
カシオ計算機と武蔵野美術大学の産学連携「にっぽん多文化共生発信プロジェクト」は今年で5年目を迎えました。2021年度のプロジェクトでは、インクルージョンをテーマとし、参加型のオンライン・イベントを企画・実施しました。これまで「多文化共生」を国や民族といった枠組みを中心に探究してきた本プロジェクトですが、今年度は「多文化」をより広く捉え、個人のもつ多様性としました。そして、その多様性を包摂し、一人ひとりが公正に参加できるインクルーシブな社会とはどんな社会か、どうすればそのような社会に近づけるのかを学生、教員、カシオ社員共に、一から考えてきました。そこで、イベントのテーマは「インクルージョンはじめの一歩ーみんなで描く共生社会」と決まりました。
幸い今年度も多くの方々のご協力を得ることができ、4つのチームに別れ、各チームがそれぞれの課題を胸に取材を進めてくることができました。コロナ禍の中、制限のある取材でしたが、それでもすべてがオンラインだった昨年と異なり、現場に赴いて、実際にお会いしてお話を伺うことができました。そこで、あらためて、人と人が出会うこと、人と人が関わることの大切さを感じました。
私たちにとってインクルージョンはじめの一歩とは、人との関わりの中で、少しずつですが、社会の課題を自分ごとにしていく過程だったように思います。インクルージョンとは何か。プロジェクトを終えた今もまだ私たちの中に明確な答えがあるわけではありません。しかし、この経験をもとに、次の一歩へ向けて歩み出していきたいと考えています。プロジェクトのドキュメンタリーを通じて、私たちの足跡を共有し、インクルーシブな社会とは何かを、共に考える契機としていただければ幸甚です。
チーム|COCRE
取材協力|生活介護事業所 ひまわりばたけ
チーム|ブドウ
取材協力|公益財団法人かながわ国際交流財団 MULPA
チーム|STAND BY ME
取材協力|CANVAS キッズクリエイティブ研究所
チーム|みんなで日本語
取材協力|ARC東京日本語学校
今年度の米徳ゼミは、初めての試みとして映像班と冊子班を結成し、4つのチームにゼミ生がそれぞれ所属して、チームの一員として活動しながら、ドキュメンタリーのための密着取材を行いました。この映像は、キックオフからオンラインイベント開催までの5ヶ月間のプロジェクト全体のプロセスをまとめたものです。また、学生の学びを日々記録し、気づきや成長にフォーカスしたチームごとのドキュメンタリー映像も制作しました。私たちの制作した5つのドキュメンタリーが、インクルージョンを知るための切り口になれば幸いです。
カシオ計算機と武蔵野美術大学の産学連携「にっぽん多文化共生発信プロジェクト」は今年で4年目を迎えました。2020年度のプロジェクトでは、多文化を背景とする語り手の方を迎え、少人数の対話を重視した参加型オンライン・イベントを企画・実施しました。5人の語り手の方、28人の参加者が集い、当日は充実した対話の場をもつことができました。ご参加いただいた方々にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。
2020年は新型コロナウイルスの影響により、さまざまな格差や分断が顕在化しました。急速なオンライン化は社会の効率を上げ、多くの対話の場をつくり出した一方、似たような価値観をもつ人が集まりやすくなったように思います。社会のあそびや他者との出会いがソーシャル・ディスタンスということばがつくり出したエアポケットに落ちてしまったかのようです。だからこそ、私たちは、異なる価値観が出会い、そこから新しい文化が育まれることをめざしたことプロジェクトを続けることを選択しました。昨年までの、現場取材を通じたドキュメンタリー映像作品の制作はできません。オンラインでできること、オンラインの時代だからこそ必要なことを考え、オンラインによる対話の場のデザインをプロジェクトの目標に掲げて取り組んできました。
ドキュメンタリーという作品の代わりに、イベントというコトのデザインがプロジェクトの中心になりました。イベント開催、そしてその裏側を追った一本のドキュメンタリー、そしてこの報告書までが一連のプロジェクトであったと捉えています。9名の学生と教員、カシオ社員の学びの軌跡をここに共有できることを嬉しく思っています。
私たちが生きる日本社会では、出身・言語・環境など多くの要素が絡み合って一人ひとり独自の価値観をもつ方々が共に暮らしています。本イベントでは、多様なバックグラウンドをもつ方々との対話を通じ、多文化社会の取り組みに触れて、自分に何ができるかを考えたいと思います。
石野 シャハランさん
(シャハランコンサルティング)
佐々木 聖瞾さん
(ささき・せいしょう 横浜市市役所職員 多文化ユースプロジェクト)
サラ・アンダーウッドさん
(さら・あんだーうっど 小平市国際交流員)
私たち米徳ゼミの学生は、上級日本語の授業にチームメンバーとして参加しながら、オンラインイベント「わたしの歩いてきた道―多文化共生への対話―」を開催するまでの道のりをビデオ記録しました。授業は対面とオンラインのハイブリッドで5ヶ月に渡り行われ、イベントはオンラインでの開催です。このドキュメンタリーでは、イベントが生まれるまでのプロセスを垣間見ることができます。作品のテーマは「私たちの成長」です。イベント構成の参考となるヒューマンライブラリーへの参加、語り手への取材などの経験やイベントの本番を通じて、多文化共生への向き合い方が深まっていく様子をご覧ください。
企業(カシオ計算機)と大学(武蔵野美術大学)が連携し、ドキュメンタリー映像を制作、発表するという産学共同プロジェクトを紹介。キャリア教育としての日本語教育の可能性を探る。社会全体で学び合う環境をつくるヒントがここに。
私たち米徳ゼミの学生は、にっぽん多文化共生発信プロジェクトの活動を記録しました。このプロジェクトは5チームに編成されて進められました。学生たちは取材対象者を知るだけでなく、メンバー同士のコミュニケーションを通じて、多文化共生に対する理解を深めて行きました。彼らは、国籍や文化などといった大きな枠組みから身近にあるものへと意識が変化し、今日からできることを考えるようになりました。
この映像は5チームの約5ヶ月間に渡る軌跡を辿ったドキュメンタリー作品となっています。
カシオ計算機は武蔵野美術大学との産学共同プロジェクトの成果発表会を、1月31日武蔵野美術大学デザイン・ラウンジ(港区赤坂)にて開催しました。
昨年に引き続き「にっぽん多文化共生発信プロジェクト」と銘打って、同大学の学生たちが、その最前線で活躍する人や団体を取材しました。留学生の就職支援をする会社、国際交流協会、難民として渡ってきた日本でレストランを経営するオーナー、日本語教育の第一人者などの5団体にかかわるリーダーたちを丁寧に追いかけ、学生ならではの視点でインタビューを行った軌跡が映像に収められました。
留学生のための就職支援会社である「ASIALINK」代表小野さんが留学生の就労のために奮闘する姿を 描いたドキュメンタリー。
市民サークルである「多文化ひろば あいあい」の活動を通じて、日本で子育てする外国人ママの実態を伝える描いたドキュメンタリー。
外国人ITエンジニアを育成する「奥多摩日本語学校」。地域や企業と連携しながらプロジェクトベースで日本語を学ぶ留学生達を描いたドキュメンタリー。
2018年9月から始まった「にっぽん多文化共生発信プロジェクト」。この作品ではプロジェクトに関わった学生、教授、CASIOの方々、そして取材に協力してくださった多くの方々が、約5ヶ月の間どのような学びを行ってきたのか、またどのようにして3つのドキュメンタリー作品が生みだされたのかを、米徳ゼミのミッションとして、全体を見通す視点からドキュメンタリーを制作しました。この作品を通して、新しい日本語教育の形や、多文化共生という言葉について深く知るためのキッカケを伝えたいと思います。
カシオ計算機は武蔵野美術大学との産学共同プロジェクトの成果発表会を、2月2日武蔵野美術大学デザイン・ラウンジ(港区赤坂)にて開催しました。2年目となる今回は「にっぽん多文化共生発信プロジェクト」と銘打って、同大学の留学生を中心にその最前線で活躍する団体を取材しました。日本企業と留学生をつなぐ人材紹介会社、外国人を対象とした親子参加型の支援団体、日本語とITスキルを同時に学べる日本語学校の3団体に密着し、留学生ならではの視点でインタビューを行った軌跡が映像に収められました。
この日本語学習支援プロジェクトは、日本語教育への貢献を目的としたカシオ計算機と武蔵野美術大学の産学協同プロジェクトになります。
2016年5月に開催された日本語教育学会の春季大会をきっかけに始まった本プロジェクト。初年度にあたる今回は、日本留学の魅力を伝える動画を制作いたしました。「映像」の講義ではなく「日本語」の講義として、日本人学生と留学生とがチームを組んで制作した今回の作品を通じ、世界中の若者に日本語を学ぶ素晴らしさを伝えたい。私たちはそう考えています。日本語を学ぶ楽しさや喜びを、留学生自身の言葉で語ってもらった彼らの作品を御覧いただき、その想いが伝われば幸いです。
ASEAN 諸国で日本語を学ぶ方々に、日本語を学ぶ喜びや日本留学の魅力を伝えることを目的に、武蔵野美術大学の三代純平先生が開設する「上級日本語」の履修者が、議論を重ねながら短編動画を制作。その制作プロセスを芸術文化学科・米徳ゼミの学生が半年間にわたり取材し、ドキュメンタリーを制作しました。作品制作の裏側を知ることで、このプロジェクトの意義が伝わることを目指しました。