まちビジネス事業家 木下斉
まちビジネス事業家 木下斉
第1回

プロジェクトを
成功に導くための
コミュニケーション術

「地域活性化」をテーマに活動され、地域事業開発を推進する、一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンス代表理事の木下斉さん。
早稲田大学高等学院入学中の2000年に起業を経験、同年には「IT革命」で新語・流行語大賞受賞を経験。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業後には一橋大学大学院商学研究科修士課程へ進学、在学中に経済産業研究所や東京財団等にて地域政策の調査研究業務に従事。2008年には熊本城東マネジメント株式会社を皮切りに、全国各地で地元企業との地域再生を目指す合弁会社の立ち上げを行いながら、内閣府地域活性化伝道師や各種政府委員も務めるなど、幅広く活躍されています。
そんな肩書きを持つ木下さんに、地域活性化ビジネス及び、それにまつわるコミュニケーションの秘訣など、貴重なお話を伺う本企画。第1回は「プロジェクトを成功に導くためのコミュニケーション術」。さらには普段のビジネスで使える対人コミュニケーションにはどのようなマインドが必要なのか、について、明日からビジネスパーソンが実践できるノウハウをお伝えします。

チーム間でのコミュニケーションを
円滑にするために実践すべきこと

高校在学中から地域事業開発に携わり、現在は自ら会社を経営しつつも、地域の地元企業と自身も投資して合弁会社を設立、各地の有志と協働し新規の事業立ち上げを推進する活動を行っている木下さん。「地域に新たな『稼ぎ』を作る」ことをミッションに掲げ、自らの活動をより多くの方に知ってもらおうと内容を書籍にまとめたり、講演を行ったり、地域活性化に関する啓蒙活動にも精力的に取り組まれています。

東京を離れ地方に行くことも多い中、チームメンバーと普段どのようなコミュニケーションを実践されているのでしょうか。

「高校時代より学生をしながらビジネスをしていたので、リモートで仕事するのが当たり前でした。今はインフラも良くなり、スマホも普及し、優れたアプリケーションもたくさんあります。通常メンバーとコミュニケーションを取る際には、業務的なことはグループウェアを活用するなど、オンラインでのコミュニケーションが普通です。オフラインは週に1~2日オフィスワークデイを設けるといった感じで、その日は仕事の確認などはしつつも、食事をしたり雑談するなど、時間を共有することに重きを置いています。」

最近はZoomやGoogle Meetといったオンライン会議も増えていますが、オンラインでのコミュニケーションが得意ではないメンバーもいることと思います。その点について、木下さんは次のような形で対応します。

「我々のように衰退している地域を相手にしているケースでは、少ない資本・メンバーで成果を上げるといった徹底的な効率化ができないと、利回りを都市部より高くできませんし、そもそも投資をしてもらえません。チームで活動する際の効率的なマネジメントにはオンラインを利用、その代わりオフラインでは考えや理念について深く話したりしながら、人間としてのリレーションシップを強化するようにしています。

現代社会のようなオンラインコミュニケーションが主流の時代において、苦手とかは言っていられません。道具は使っていれば慣れるもので、慣れるには一定の時間が必要なのは確かですが、それは向き合うべき投資だと思っています。衰退地域が再生するのにネットが苦手ですから、とかいっていたら、多くの協力者を集めることも難しく、優れた人材を採用するのも困難です。一方で、ちゃんとネット活用すれば昔では不可能だったことが可能になり、優れた人材を集め、よりよいサービスを実現できるのですから、苦手とか得意とかそういう次元の話ではないのです。やらねばやらないし、やるのが当然で、やるのがチャンスの拡大に直結するのです。

そのため、今どき大した用事でもないのに電話でやりとりをするよりも今の時代の速度に合わせたコミュニケーションツールの利用を全国各地で共にプロジェクトを動かす仲間に求めることは不可欠な要素だと思っていますし、当然のようにできる人が集まってきています。ここは私がビジネスをはじめた23年ほど前とは全然違う時代になりましたよね。地方にとってネットは本当に素晴らしい道具です」

コミュニケーションは
オンラインもオフラインも両方大事

とはいえ、オフラインならではのメリットも当然あります。オンラインでのコミュニケーションの利点は理解しつつ、オフラインも併用しながらプロジェクトを進めることが重要と説きます。

「オンラインだからできることもあれば、オフラインだからできることもありますので、それぞれの特性を活かすことが大事です。たとえば、オンラインは同期性が不要なので生産性を上げるのには非常に適しています。ただ、オンラインの課題は多人数が集まった時にそれぞれと個別に話すのが難しいことです。誰か1人の話くらいしか配信できず、リアルであれば複数人が同じ場であれこれと非計画的に話せる利点があります。これは今のディスプレイとスピーカーやマイクというインターフェイスが貧弱であることによって発生しているので、今後徐々に解決されていくと思いますが、未だオンラインのほうがオフラインに比べると熱量が出ませんね。だから、議論を複数人で行う時は、オフラインを積極的に選択しています。

私は各地で地域事業に関して考える、私設勉強会「狂犬ツアー」というのを気まぐれで開催しているのですが、募集や決済はオンライン。しかし開催はオフラインで行い、現場で参加者同士であれこれ話をしてもらうようにしています。そんなマニアックな機会にオンラインで申し込んでくる人たちが、オフラインで集まると何かが起こるのです。実際そこから新たな事業がスタートすることも結構あります。オンラインとオフラインの特性、技術的な優劣も理解して使い分けるのが、得策だと思っています。」

時代に合った
コミュニケーションツールを活用する

オンラインでのコミュニケーションは、オンライン会議やグループウェアだけではありません。不特定多数に対して情報の発信や、やりとりができるSNSもその一種。今、若い世代に向けてSNSを使ったコミュニケーション(情報発信)ができる会社は、東京・地方問わず働き手が集まっているそうです。

最近では環境の良さを活かして新しいレストランを開業するのに、地方をわざわざ選んでくるシェフも増えているのだとか。また最近の若い世代でもより感度の高い方の場合、東京か地方といったもので仕事を選ぶのではなく、地方にありながらも面白い事業を行っている会社をあえて選ぶこともあるとのこと。

「私も合弁会社を共にやっている地方の面白い事業を展開している規模は小さいけど、業績好調な優良企業には、最近新卒も中途も殺到しています。本当に驚きますよ。Z世代は全然違います。ミレニアル世代の転職組も増加していますね。その手の会社社長はSNSを有効的に利用し企業情報を発信していることも多く、社長の言動を見てエントリーしてくる現象も起きています。なので、SNSでの発信、noteでの発信などを強化するようにパートナーの社長には話しています。一昔前とは違い、東京ならよくて地方がダメとかではなく、この会社で働きたいとピンポイントで選ぶようになってきているのです。これネットによって多様な情報が発信でき、検索して発見することが可能になっている時代だからこそだと思います。」

SNSの発達は、会社と働き手のエリアを超えたコミュニケーションを可能にし、地域活性化をさらに盛り上げる要因になっています。

場の一体感を作るのに最適な
FORESIGHT VIEW

ビジネスカバンにもすんなり入る大きさなので、持ち運びに不便を感じません。

さまざまな場所でプレゼンや打ち合わせを行う際、個々人持参のパソコンを使い、画面共有しながら話すことも多いという木下さん。しかし場の一体感を生み出すためには、プロジェクターの使用がとても効果的だと考えます。とはいえ、移動の多い木下さんがこれまでの訪問先でプロジェクターを利用する際には、いろいろ苦労した経験もあったとか。

そんな木下さんが最近地方を訪れる際に持参しているプロジェクターが、カシオのFORESIGHT VIEW。JIS規格2000ルーメンという明るさを実現しつつ、A5サイズ、本体質量約1.1kgという小型軽量のプロジェクターです。

「地域活性化をテーマにお話しする場合には、個々人の知識量に差があるとどうしても画像や動画などのビジュアルを使って説明する方が理解度は上がります。今は皆さんパソコンを持っているので画面共有はできるのですが、自分のモニターに集中されると内職とかしちゃったりするので、プロジェクターで投映した画面を見ているほうが目線を合わせやすく、場に一体感が出ます。私のほうは手元のパソコンと、プロジェクターの画面を用いてマルチディスプレイを使用している感じなので、ディスカッションもしやすくプレゼンは断然話しやすく感じますね。」

プロジェクトの説明を大画面で。コンパクトなFORESIGHT VIEWなら簡単に持ち運べます。

木下さんは、これまで打ち合わせ先で用意してもらったプロジェクターを使用するたびに正常につながるかどうか不安に感じていたとのこと。
「プロジェクター=トラブる」というイメージがあり、プロジェクターを利用するぐらいなら…とパソコンの画面共有を使ったり、タブレットを用いて対応することもしばしばだったそうです。

「そもそも、私はMac®を使っているので、昔のプロジェクターだとつながらないとか言われたりするのですね。プロジェクターは『ある』か『ない』かの二択となることが多く、スペックは二の次となっている気がします。もう10年以上も前の骨董品のような巨大なプロジェクターとかが出てくる会場もあったりするのです。また、打ち合わせ先で用意してもらったプロジェクターがうまくつながったとしても、昼間使うには『暗い』、スクリーンがなくて壁に投映するのに『補正が出来ない』といった問題がストレスになることが多く、積極的に利用するのをためらうこともありました。」

プロジェクターについては『小型=暗い』というイメージをお持ちだった木下さん。暗さをカバーするためにブラインドを閉めた中でプレゼンを行うと、眠くなってしまったり、明るく前向きな話も暗くなってしまいがちだったとか。以前使用していたプロジェクターと比べて、FORESIGHT VIEWについての印象を聞いてみると、木下さんからは以下のような答えが返ってきました。

「FORESIGHT VIEWは、日中にブラインドを開けた状態や部屋の明かりを点けたままでも明るく投映できるので見やすいと感じます。特に『明るさ』についてはFORESIGHT VIEW を使ったミーティングに参加してくれた方々も本当に驚いていましたよ。シンプルにプロジェクターは、さくっと起動できて、ちゃんと繋がり、明るい、この3点が大切と思いますが、この基本性能に優れている、足腰がしっかりしているプロジェクターという印象です。」

「それでも一番驚いたのは、とにかく起動が早く焦点も合わせやすいことですね。起動時間がわずか約5秒。即座に補正も行われるので設置のストレスが激減しました。これ、結構当日の調整で一番時間がかかるところで、昔のやつだと投映されるまでの間延びがあって、焦点もあっているのかないのかわからないものも結構あるなんですよね。このような会場での準備の手間がなくなったことは大きいと感じています。さらに、コンパクトなので非常に持ち運びやすく、実際に専用バックに入れたままスーツケースに入れて出張にも行きますが、飛行機の機内持ち込みも問題ないので大変重宝しています。」

以上のように、プロジェクトを成功に導くためのコミュニケーション手段としては、オンラインの重要性を説きながらも、対面でのコミュニケーションもしっかりと行う必要があると木下さんは述べています。SNSなどの時代に即したツールを活用し、離れた地域の方とも円滑にコミュニケーションが取りやすくなっている今だからこそ、オンライン・オフライン双方の良さを取り入れていきたいものです。

次回は、地域活性化の現場で感じたコミュニケーション課題や経験を通じて学んだスキルについてお伺いしていきます。ぜひご期待ください。

木下斉

木下斉

まちビジネス事業家

1982年東京生まれ。1998年に早稲田大学高等学院入学。在学中である2000年、全国商店街合同出資会社社長に就任。2005年早稲田大学政治経済学部政治学科卒業後、一橋大学大学院商学研究科修士課程に進学。在学中は経済産業研究所、東京財団等で地域政策の調査研究業務に関わる。2000年「IT革命」で新語・流行語大賞受賞。一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンス代表理事。熊本城東マネジメント株式会社代表取締役など各地の事業会社の役員を務めると共に、内閣府地域活性化伝道師や各種政府委員も務める。

主な著書は書籍「まちづくり幻想」SB新書、書籍「地元がヤバイ…と思ったら読む 凡人のための地域再生入門」ダイヤモンド、『地方創生大全』(東洋経済新報社)、『稼ぐまちが地方を変える』(NHK新書)、など多数。近著の「まちづくり幻想」は尾崎行雄記念財団・咢堂ブックオブザイヤー2021 地方部門大賞を受賞。

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