コラム
ある業務の内容を特定の従業員だけが把握していて、他の人では対応できない状況のことを業務の「属人化」といいます。特定の担当者のみにノウハウが集中すると、担当者が不在の際に業務が止まってしまう恐れがあるばかりか、会社にノウハウが蓄積されないデメリットもあることをご存じでしょうか。
ここでは、受発注業務の属人化を解消するメリットと具体的な手順を解説します。属人化を解消し、業務を「標準化」するための対策を知ることで、業務効率の改善と組織の柔軟性の向上をはかりましょう。
目次
まずは、業務の属人化とはどのようなものか、属人化が起こる原因とは何かを解説します。
業務の属人化とは、業務を特定の従業員のみが担当していて、他の人では対応できない状態のことです。属人化がまん延すると、誰が何をしているかわからない状況に陥りやすく、担当者が欠勤や退職した際に業務に支障が出やすくなります。
例えば、ある得意先について特定の担当者しか状況がわからない状態や、同じ社員に受注業務が集中していて仕事がスムーズに進まないといった状態が「属人化」に該当します。こうした属人化は業務の妨げになりやすく、組織の柔軟性を下げてしまいます。
属人化の対義語は「標準化」で、誰でも業務に取り組める状態を指します。情報が共有されるため、誰が何をしているかわかりやすくなるほか、特定の担当者でなくても対応できるため、一部の担当者に負担が集中することもなくなります。
属人化が起こる原因として、次のような理由が考えられます。
•情報を共有する仕組みがない
•業務が忙しく情報共有まで手が回らない
•情報共有の重要性が認識されていない
長らく働き方が変わっていない事業所などにありがちなのが、情報共有できるITツールなどがなく、業務の進捗状況や、得意先の詳細情報などが担当者個人にとどまりがちになっていることです。
情報を共有する仕組みがあっても、日頃から業務が忙しく、情報の共有まで手が回らないケースもあるでしょう。また、情報共有の重要性の認識が十分でなく、情報共有の手間が考慮されていない業務フローになっていることや、マニュアルが整備されていないことも一因になりえます。
受発注業務の属人化を解消することで、業務が円滑に進み、会社組織にもよい効果をもたらします。ここでは、属人化を解消することで得られるメリットについて解説します。
属人化を解消することで、受発注業務の効率アップが期待できます。
1つの得意先を特定の担当者が担当し、情報共有も十分にされていない場合、担当者がいないと業務が進まなくなる問題がありました。担当者の不在時に得意先から連絡があっても、他の従業員では回答できないため、担当者に業務が集中してしまいます。
しかし、属人化を解消して誰でも対応できる状況をつくれば、納期などの問い合わせにその場で回答できるようになります。得意先が担当者からの折り返しの電話を待たずに済むようになるため、顧客満足度にもよい影響を与えるはずです。
情報共有を行い、属人化を解消すると、今まで個人のノウハウだったものが組織のノウハウとして共有・蓄積できるようになります。
ノウハウが社内で共有されると、担当者の異動や退職があっても次の担当者がスムーズに引き継げるようになるほか、新入社員の育成がスムーズになるなどのメリットもあるでしょう。
特に中小企業では、ベテラン社員に業務のノウハウが偏って蓄積されがちです。貴重なノウハウが退職で失われてしまう前に、情報の共有と業務の標準化を行い、会社の財産にしましょう。
業務が属人化すると、特定の担当者に業務が集中しやすくなります。閑散期でも業務に偏りがある場合、繁忙期ではさらに負担が大きくなり、特定の従業員が長時間労働を強いられる状況になりかねません。
しかし、業務の属人化を解消して標準化が進むと、業務に余裕のある従業員が手伝えるようになり、問い合わせも他の従業員が対応できるようになるため、特定の担当者に業務が集中しづらくなります。業務によっては、標準化が進むことで特定の担当者を置く必要がなくなる場合もあるでしょう。
特定の従業員だけが長時間労働をしている状況を解消でき、従業員の労働時間の平準化もできます。業務効率がアップし、時間外労働を削減する助けになるはずです。
業務の属人化を防ぐには、現状の把握と業務フローの再検討が必要になります。ここでは、業務の属人化を防ぐメソッドを紹介します。
まずは、受発注業務が現在どのように行われているか把握しましょう。ヒアリングやアンケートなどで現状を把握し、具体的にどの工程で属人化が起きているかを分析していきます。
このとき、特定の従業員だけでなく、できるだけ多くの従業員からヒアリングを行うことが大切です。組織全体での実態を把握しやすくなり、意外なところから「出荷時の検品は◯◯さんの知識に頼っている」といった指摘があるかもしれません。
受注から出荷に至る業務の流れを明確にしたら、属人化しやすい部分を解明します。現場の意見を踏まえ、属人化を解消する方法を検討し、新たな業務フローに落とし込んでいきましょう。
これまで、口頭やメモ主体で行ってきた受発注業務に、受発注システムなどのITツールを導入して属人化を防ぎましょう。
従業員が現在どのような仕事に携わっているのかわかりづらかったケースでは、進捗管理ツールを導入するとよいでしょう。また、従業員のパソコンにのみデータを保存していた場合は、クラウドにファイルを保管して社内で共有することで、「担当者にしかわからない」状況を減らせます。
受発注システムは、これまで電話やFAX、メールなどで行ってきた得意先からの受注を、オンラインで管理できるツールです。受発注システムを見れば、誰でも得意先からの発注内容を把握できるので、問い合わせにもスムーズに対応できるでしょう。
こうしたITツールを組み合わせることで、口頭で情報伝達をせずとも、組織全体で情報を共有しやすくなります。また、特定のパソコンやメモへの情報の蓄積を防ぎ、属人化の解消に大きく寄与するはずです。
業務フローを整理し、必要なシステムを導入したら、業務マニュアルを策定しましょう。
まず、整理した業務フローと、それぞれの業務をわかりやすくまとめ、作業のマニュアルを作成していきましょう。マニュアルを確認しながら、誰でも同じ様に業務を行える状況をつくることで、業務が属人化しない環境を目指します。
マニュアルには、業務で得た情報を共有する方法や、組織のノウハウとして蓄積する方法もわかりやすく記入しましょう。情報共有に利用するITツールは進化のスピードが早いため、マニュアルは紙にするのではなく、オンラインで随時更新できるものにするとよいはずです。
そして、属人化を防ぐためには、従業員の意識改革も必要になります。定期的な研修を行うなどして、属人化の問題点やマニュアルの活用方法などを周知しましょう。管理職から率先して属人化防止に取り組む姿勢を示し、意識改革を促すことが大切です。
受発注業務の属人化は、業務効率の低下だけでなく、従業員の長時間労働などの問題も引き起こしかねません。改善のためには、実態を把握して業務フローを見直し、マニュアルの作成や、ITツールの活用などを検討する必要があります。
さらに、社内の意識改革に取り組むことで、属人化を防げるはずです。業務の標準化と情報共有を進め、柔軟で生産的な組織体制を実現しましょう。
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