ビジネスコラム

Vol.14
採用・人事担当者様必見 成功するための採用ノウハウ集

人手不足が深刻化する中、新卒採用がうまくいかないと企業の競争力低下を招きます。新卒採用は二極化が進み、内定を得られない学生がいる一方で、複数の内定を獲得する学生が出てきています。つまり、優秀な就活生であるほど、採用難易度は高くなります。

新卒採用に成功するためには、採用計画を具体的に立案し、採用プロセスや内定者フォローまでしっかりと戦略を練る必要があります。求める人材を必要なだけ採用するべく、新卒採用に関するノウハウを蓄積・共有するようにしましょう。

今回は、新卒採用に役立つ採用ノウハウを具体的に紹介します。

新卒採用ノウハウを共有すべき理由とは?

新卒採用において、採用担当者に求められるのは次の2つです。

  • 求める人材を採用すること
  • 目標の採用人数を確保すること

新卒採用は時間との勝負です。ノウハウがあれば採用担当者の業務を効率化でき、成果に繋げることができます。さらに、新卒採用に関するノウハウを人事部内で共有しておくと、複数の採用担当者の知見が増えるので採用のパフォーマンスが向上するでしょう。また、ノウハウの共有は、キャリアが浅い採用担当者の教育にも使うことができます。

新卒採用に成功できるノウハウとは

新卒採用ノウハウにはどのようなものがあるでしょうか? 以下の6つのポイントで解説していきます。

①求める人材像の設定

新卒採用において最初に必要なのは、会社として求める人材像を設定することです。人材像の設定ではマクロとミクロに分けて考えます。まずは経営方針や組織文化に沿って、どのような人物が必要なのかを考え、具体的に設定しましょう。「会社として必要な人材像」を考えるのがマクロ的な人材像の設定です。

次はミクロ的に、「個々の組織における人材像」を考えます。例えば会社として必要な人材像であるが「自律的に考え、チームに貢献できる人材」だとします。このマクロ的な人材像との繋がりを意識し、部署において求められる人材像を個々に設定するのです。そのためには、部署へのヒアリングが必須です。職場の声を人材像へ反映してください。

②採用計画の立案

求める人材像を設定した後は、採用計画を立案します。採用計画を立てるためには、部署ごとの人員構成を分析しておくことから始めます。各部署において、年齢別・等級別に何人いるかを計算しておきましょう。すると、各部署の年齢・等級別の人数比、管理職比率、昇格率などが分かります。人員構成が分かれば採用計画を立てやすくなります。ちなみに理論新卒採用人数は以下の数式で求められるので、採用計画立案の参考にしてください。

理論新卒採用人数=総従業員数÷(定年年齢―新卒採用年齢)+平均自己都合退職人数

例えば総従業員数450名の会社で定年が60歳、新卒採用年齢が22歳、平均自己都合退職人数が10人だとすると、理論新卒採用人数は約9.4人になるので、新卒は毎年10人が必要ということになります。この10人を各部署に振り分ければよいのです。採用人数を決めた後は具体的に「採用計画」を立てていきます。会社説明会・筆記試験・面接回数といった採用プロセスの他、求人媒体の選定、採用の予算なども踏まえて計画を細かく立てていくとよいでしょう。なお、採用プロセスおよび求人媒体の選定については、個別に説明します。

③採用動向の調査

経済環境の変化、業界の変化、働き方の変化などから、採用担当者は柔軟な対応を迫られます。新卒採用動向の調査を行い、採用活動の方向性を見定めておきましょう。

④採用プロセスの決定

採用プロセスでは、採用したい就活生をどうすれば獲得できるか、という目的思考で考えます。目的思考で考えると、採用手段も丁寧に検討する必要があることが分かります。「いつもこの採用媒体を使用しているから」という理由で媒体を決めるのではなく、そもそも媒体で必要な人材を採用できるのか?を考えていきます。媒体ではどうしても知名度が高い企業に就活生が集まり、例えば中小企業では母集団形成が難しくなるからです。

欲しい就活生を必要な数だけ採用するためには、母集団形成に注力するより、自社に合った採用手段を決めるとよいです。媒体を使わず、新卒採用向けの人材紹介、ダイレクトリクルーティングなどのサービスを活用するのも手段のひとつ。就活生を獲得するための視点を強く持って採用手段を決定します。

採用手段を決めた後、会社説明会・筆記試験・面接などの流れを決めます。コロナ禍の採用プロセスにおいては、オンライン採用の可否についても検討しておく必要があります。すべてのプロセスをオンラインにするのか、一部の選考をオンラインにするのかといった点も考えていきましょう。

※参考記事
「Vol.12 オンライン採用のメリット・デメリット、導入にあたっての課題や注意点」

なお、就活生を集めて会社説明会を行う場合は、円滑に会を進行するための会場や設備についても準備を怠らないようにしましょう。ある程度のまとまった人数で来社を求める場合は、人数制限や部屋を分ける必要がでてきます。効率よく説明会を進行するためにも、例えば、設置場所を選ばない持ち運びできるプロジェクターなどを用意しておくとよいでしょう。

大きいスクリーンに投映することで、会社の魅力をわかりやすく説明できるプロジェクターは必須の設備といえますが、どうしても場所を選びがちです。バッテリー駆動で持ち運びができるプロジェクターがあれば、どの室内のどの場所でも設置可能なため、企業にとっても就活生にとっても、柔軟な説明会を実施できるはずです。

また、会場に複数のモニターを用意しているケースは少ないため、設置が自由で壁などにも投映可能なプロジェクターは、セカンドディスプレイとしても活用することができます。大画面にメインの内容を投映し、もうひとつ、参考資料や補足資料を映し出す画面をプラスすればプレゼンテーションへの理解が深まりますし、会社の魅力をわかりやすく説明することができるでしょう。当然ながらこれらの細かな配慮や工夫は、就活生に好印象で受け取ってもらえるはすです。

⑤求人媒体の選定

求人媒体を活用する場合、ここでもポイントとなるのは採用したい就活生をどうすれば獲得できるか、という目的思考です。新卒採用という目的を達成するため、改めて求人媒体を見比べてみてください。比較した結果、既存の媒体でよいのか、あるいは異なる媒体がよいのかを検討します。

例えば求人媒体には、「理系に強い」媒体、「地方の就活生に強い」媒体などの特長があります。求める人材像、そして組織において求められる人材像を振り返り、欲しい人材を必要な数だけ採用するにはどの媒体がよいか個別に検討するとよいでしょう。

⑥内定者フォロー

求める人材を確実に採用するには、内定者フォローは重要なノウハウです。スマホのSNSをうまく活用して、内定者に対して適度にコンタクトを取るとよいでしょう。SNSなら自社の情報を就活生向けに楽しく発信することもできます。年齢が近い先輩たちの活躍している様子などをSNSで共有すれば、内定者も「入社後の自分」をイメージしやすくなるはずです。

また、内定者フォローのひとつとして、入社前のeラーニングも効果的です。内定を得た就活生は「ちゃんとやっていけるかな」と不安を抱えています。入社前の学習としてeラーニングを実施し、自社のことや業務に対する理解を深めてもらうことで不安を払拭することができるでしょう。

地域別・規模別で異なる新卒採用ノウハウ

都市よりは地方、大企業よりは中小企業の方が新卒採用に苦戦しがちです。そこで、地域別・規模別の新卒採用ノウハウも紹介します。

地方企業も中小企業も母集団形成や内定辞退などにより、新卒採用に課題を感じています。「説明会を開いても就活生が集まらない」というのは、地方や中小企業に共通する課題です。しかし、地方の企業や中小企業でも新卒採用に成功できるノウハウがあります。大企業に知名度で劣る地方や中小企業が新卒採用に成功するには、自社ならではの採用方法を確立する必要があります。例えば新潟県のある製菓メーカーでは、「カフェテリア採用」という採用手法を確立しました。これは、就活生自身に採用方法を選んでもらい、企業がそれに対応するというものです。

「カフェテリア」のネーミングはその名の通り、カフェでお客さんがメニューを選ぶように就活生が「採用方法」を選ぶことができるという意味です。例えば同社は、地方にある会社ということもあり、メニューの中には「出前全員面接」という選択肢もありました。どういうものかというと、これは企業側ではなく学生側が面接会場を準備し、そこに採用担当者が〈出張して面接を行う〉というものです。学生側は自分たちの都合のよい場所で面接を行えるため、ありがたいシステムといえます。

また、上述の持ち運べるプロジェクターなどは、こういった移動がともなうケースや不慣れな場所でもスムーズに会社説明等を行うことができるので用意しておくとよいでしょう。同社では、このような特色のある採用手法を確立したことにより、地方の中小企業という人材採用が難しい立場にありながらも有名大学や海外大学卒の採用に成功しました。

特徴的な例をひとつ紹介しましたが、これをそのまま真似してもうまくいきません。採用プロセスで説明したように、採用したい就活生をどうすれば獲得できるか、ということを掘り下げて考える必要があります。そのプロセスを経た上で、他社と似た採用手法になるのは問題ありません。まずは自社として、どのような採用方法がよいかを深く検討し、その上で独自性のある採用手法を生み出してください。

他にもある新卒採用ノウハウ

新卒採用に役立つノウハウとして、他にもいくつかのノウハウがあります。

リファラル採用

新卒採用におけるリファラル採用は、人材を社員・内定者に紹介してもらう採用手法です。会社の魅力を知っている社員・内定者だからこそ、自社に合う人材を採用することができるので、入社してもらえば辞めにくくなります。採用のミスマッチは「イメージと違った」ということで起こり得ます。リファラル採用なら企業の悪いところも含めて就活生が情報収集できるので定着率が高まります。新卒や若手社員の離職に悩んでいる企業は、リファラル採用を検討してもよいでしょう。

通年採用

通常の採用時期ではなく、新卒を通年採用する方法です。時間がある分、就活生と向き合えます。一括採用ではないためコストはかかりますが、留学生や海外経験のある就活生、個性的な経験を積んだ就活生など、多様な人材を採用したい場合に適した採用手法です。通年採用なら採用活動に時間をかけられるので、就活生の強みに再現性があるか否かについても、しっかりと見定めることが可能です。短い面接時間だけで強みに再現性があるかを見極めるのは容易ではありませんが、通年採用なら時間があるため、就活生の言動の再現性の有無を判断することができます。

まとめ

人手不足が続く中、新卒採用がうまくいくことが採用担当者には求められています。企業を取り巻く環境はダイナミックに変化することがあります。自社にとって優秀な新卒を確保し、他社にはない人材として育てていくようにしましょう。人材育成は競争優位性に繋がりますから、ノウハウをしっかりと蓄えて共有し、新卒採用を成功させましょう。

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