ビジネスコラム

Vol.5
リアルにするか、
ウェビナーにするか

コロナ禍でのビジネスセミナーのあり方とは?

新型コロナウイルスの感染拡大は、ビジネスの様々なシーンに多大な影響を及ぼしています。中でも、企業によるビジネスセミナーについては、2メートル以上の対人距離を呼びかけるソーシャル・ディスタンスによる感染防止対策の観点から、会場を借りて開催していた対面でのリアルなセミナーに加え、オンラインによるウェビナーという方法も増加しているようです。

そこで今回のコラムでは、商品やサービスの見込み顧客を作り、売上促進につながるなど、企業活動にとって重要なビジネスセミナーの現状を、各種アンケート調査の結果から分析。今後のビジネスセミナーのあり方について考察します。

ビジネスセミナーの現状は?

全体の91%は現在でも継続して実施中

コロナ禍の中、企業によるイベントや展示会などの多くが中止になっていますが、ビジネスセミナーについてはどうでしょう。以前からセミナーを開催している企業のビジネスパーソンに1年前と比較した現在の実施状況を尋ねたところ、91%は変わらず実施しているとの結果が出ました。
実施している91%の中でも、41.7%の企業は1年前より開催の頻度が減ったと答えています、その一方、23.9%は増加傾向、25.4%は変わってないとのことで、合わせると半数の企業が実施する数を減らしておらず、コロナ禍においてもビジネスセミナーに対するニーズは高いことがうかがえます。

この1年間で実施した外部セミナーの頻度(n=528)

この1年間で実施した外部セミナーの頻度
調査方法:インターネットリサーチ/調査時期:2020年9月/
調査対象:外部セミナー開催者/回答者数n=528

約77%の企業は現在でもリアルなセミナーを実施している

Withコロナという状況下でのビジネスセミナーの実施スタイルを尋ねたところ、対面で行われる人を実際に集めて行われる従来型のリアルなセミナーを現在も実施している企業は76.9%となりました。
従来型のリアルなセミナーをメインの手法として実施している企業は56.2%、オンラインでのウェビナーをメインにしている企業は49.5%で、その割合はほぼ半々ずつになっています。 コロナ禍以前は、ビジネスセミナーといえば対面によるリアルなセミナーが当たり前でした。しかし、ウェビナーの台頭で、現在はリアルとオンラインどちらのスタイルも実施する企業が多くなっています。
ビジネスコラムVol.3のオンライン商談に関するコラムでも言及しているように、時代の変化に合わせて対面と非対面の手法を柔軟に活用することが、ビジネスセミナーの世界でもトレンドになっているようです。

(Vol.3参照:withコロナ時代の新しい商談スタイルとは?「オンライン商談」の実態とコツを徹底解析)

対面セミナーとウェビナーの実施頻度(n=489)

対面セミナーとウェビナーの実施頻度
調査方法:インターネットリサーチ/調査時期:2020年9月/
調査対象:外部セミナー開催者/回答者数n=489

リアルとウェビナー、それぞれのメリットは?

対面のメリットは「説明内容が伝わりやすい(約51%)」

従来型のリアルなセミナーを実施している理由について尋ねたアンケートによると、最も多かったのは「複雑な内容のため、対面で丁寧に説明する必要があるから(34.6%)」。次いで、「参加者と終了後等に、直接密なコミュニケーションが取れるから(26.9%)」。一方、対面によるセミナーの満足点については、「説明の伝わりやすさ(51.4%)」、「相手とのコミュニケーションの深さ(45.8%)」、「説明のしやすさ(42.3%)」。実施する理由、満足点ともに、説明とコミュニケーションに関することが上位を占めています。
ここで挙げられた対面によるセミナーの満足点は、対面での商談スタイルの満足点と一致しているのも興味深いところです。

(Vol.1参照:あなたは対面派? 非対面派?―コロナ禍のビジネスコミュニケーションについて考える―)

ウェビナーに比べ、従来型の対面によるセミナーの場合、参加者がわざわざ時間を割いて来場することから課題意識の高い方が多く、新たなニーズや顧客接点を見つけることにつながりやすいといえるでしょう。
さらに、パネル展示や製品展示による紹介はもとより、自社の雰囲気やホスピタリティといった面を感じてもらえることで、企業としてのイメージを向上させる効果も期待できます。

ビジネスセミナーを
対面で実施する理由(n=428)

ビジネスセミナーを対面で実施する理由
調査方法:インターネットリサーチ/調査時期:2020年9月/調査対象:外部セミナー開催者(対面で実施ありとの回答者)/回答者数n=428

ビジネスセミナーを
対面で実施する際の満足度(n=428)

ビジネスセミナーを対面で実施する理由
調査方法:インターネットリサーチ/調査時期:2020年9月/調査対象:外部セミナー開催者(対面で実施ありとの回答者)/回答者数n=428

ウェビナーのメリットは、「事前準備の手間を削減できる(約61%)」

リアルなセミナーを開催するためには、会場の選定から予約、当日の参加者対応、撤収作業など、様々な作業を事前にこなさなければなりません。その点、ウェビナーの場合はリアルなセミナーならではのそうした面倒な事前作業をカットすることが可能です。ウェビナーを実施している企業のビジネスパーソンにそのメリットを聞いたアンケートでは、「事前準備の楽さ(資料作成)」と答える人が29.8%、「事前準備の楽さ(会場日程の確認など、資料作成以外)」が31.4%で、計61.2%にのぼりました。

また、会場を抑える必要がないため、レンタル費用の削減が可能なのもウェビナーならではのメリットです。講師が地方などの遠距離を移動する必要もないので、交通費やホテル代の削減にもつながります。実際、22.2%の方が開催費用を抑えられることがウェビナーの優れた点と答えています。

そしてもう1点、メリットとして忘れてはならないのが、集客のしやすさ(25.5%)です。場所を問わずに多くの参加者を集客することができることは、ウェビナーにおける大きなメリットの一つに数えられています。
さらに、地方のみならず、海外からの集客ができることもメリットの一つかもしれません。

(ウェビナー)を実施する際の満足度(n=392)


調査方法:インタネットリサーチ/調査時期:2020年9月末/調査対象者:外部セミナー開催者(ウェビナー実施ありとの回答者)/回答者数n=392

リアルか、ウェビナーかで迷ったら、開催する目的と期待する効果で決めましょう

従来型のリアルなセミナーとオンラインによるウェブナーには、それぞれに異なるメリットがあります。ビジネスセミナーを開催する目的と期待する効果を明確にすれば、どちらを選ぶべきなのかは自ずと分かるはずです。 例えば、開催する目的が自社商品・サービスの特徴を詳細に説明したいのであれば、内容が伝わりやすい対面でのセミナーを選ぶべきでしょう。商品の現物を見せることもできますし、サービスを直接体験してもらうことも可能です。さらに、セミナーを通じて新たなニーズの発掘や顧客接点を見つけたい場合や、課題意識の高い顧客と深いコミュニケーションが取りたい、自社イメージの向上を目指したい場合も対面でのセミナーがおすすめです。 一方、複雑な説明が不要な製品の説明会や採用のための企業説明会、一般の講義・講演会などの場合はオンラインでの開催が適しているでしょう。手間や費用を抑えつつ、集客率アップと新規顧客の開拓を最優先したい場合や、セミナーの開催頻度を高める際にもウェビナーが最適といえるでしょう。

ビジネスセミナーは、開催する目的や期待する効果に合わせて、最適なスタイルで開催するべき。そのためには、リアルとウェビナーそれぞれを上手に活用することこそが重要になります。

まとめ

今回は、対面によるリアルなセミナーとオンラインによるウェビナーの実施状況を通じて、それぞれのメリットを分析しました。リアルなセミナーの開催は、コロナの影響で減少している傾向にありますが、そのニーズは依然として高く、開催の「目的」と期待する効果に合わせてリアルかウェビナーかを上手に活用するのが現在のスタンダードな開催スタイルのようです。

さらに、ニューノーマル時代にふさわしい新たなスタイル「ハイブリットセミナー」も注目を集めているようです。ハイブリッドセミナーとは、リアルな場で展開されるセミナーにオンラインでも参加できるようにしたもの。そのメリットは、会場におけるトークの様子と、オンラインで参加している人の反応を伝え合う相乗効果で、双方の参加者の熱量が高められ、セミナー開催の効果を最大化できるといわれています。

ハイブリットセミナーで重要な役割を果たすのが、ディスプレイの存在。今後は、ハイブリットセミナーに限らずリアルやウェビナーでも、ディスプレイを通じて双方向的なコミュニケーションを図ることがセミナー開催のポイントになるかもしれません。

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