ビジネスコラム

Vol.6
長期化するコロナの影響は?
「営業現場」におけるビジネスコミュニケーションの今に迫る!

新型コロナウイルス感染症の影響が長期化しています。2020年3月に初めての緊急事態宣言が発令されてからすでにその回数は3度を数え、ビジネスの現場にも大きな影響が出ています。

そこで今回のコラムでは、ビジネスシーンの中でも特にコミュニケーションの頻度が高く、その範囲も広い職種「営業職」に注目。コロナ禍の営業現場における実態を、最新の調査結果を元に考察します。

対面商談と非対面商談、ビジネスコミュニケーションの現状は?

半数以上の企業が、現在も対面メインでの商談を展開中

コロナ禍の影響が長期化する中、企業の営業職におけるビジネスコミュニケーションの現状はどうなっているのでしょう。半年前(2020年12月実施)に行われた調査では、対面商談をメインとする率は71.7%でした。
今回の調査(2021年5月実施)では、その割合が2割減少したものの、依然として半数以上を維持しています。

(Vol.3参照:withコロナ時代の新しい商談スタイルとは?「オンライン商談」の実態とコツを徹底解析)

さらに、「対面での商談活動を実施している」と答えた営業職の割合が92%にのぼっています。これは半年前の91.8%と同じ程度ですが、今回の調査がコロナ禍の長期化+緊急宣言下で行われたことを考えると、企業の対面商談に対するニーズは思いのほか高いといえるでしょう。

一方、非対面での商談活動を実施していると答えた人の割合は70%。半年前の48%より2割増えるなど、オンラインをはじめとする非対面での商談手法の定着化も確実に進行しています。

対面・非対面商談の実施頻度の比較

この1年間で実施した外部セミナーの頻度
調査方法:インターネットリサーチ/調査時期:2020年12月、 2021年05月/
調査対象:ビジネスパーソン(外勤営業職)/ 回答者数 n=551、n=378
グラフはピンチアウトして拡大することができます。

長引くコロナ禍の影響を受け、非対面商談の頻度が急激に増加

営業職における対面商談と非対面商談の増減状況について尋ねたアンケートでは、対面以外の商談が増加したと答える率が全体の49%と高く、対面以外の選択率も94%を占めています。コロナ禍での緊急事態宣言の影響は大きく、ほぼ半分の企業でオンラインなどによる非対面商談の頻度が増加しているようです。

その一方、対面商談が増えたと答えた率は15.2%。対面商談が減っていないと答えた率は51.8%を記録。さらに、対面商談の選択率は76%を占めるなど、そのニーズは依然堅調。コロナ収束後、対面商談へのニーズがさらに増えることも想定できる結果が出ています。

対面商談・対面以外の商談における実施頻度の増減率

対面セミナーとウェビナーの実施頻度
調査方法:インターネットリサーチ/調査時期:2021年05月/
調査対象:ビジネスパーソン(外勤営業職)/回答者数:n=382
グラフはピンチアウトして拡大することができます。

商談内容で手段を使い分けしつつ、対面を重視する傾向も

営業活動における各フェーズにおいて、「対面と非対面によるオンライン、どちらをメインの手段とするか」との調査において、現在(2021年05月)と半年前(2020年12月)の結果を比較したのが下記の表になります。

まず、全体的な傾向としては、コロナの定着&緊急事態の影響で対面商談への依存度は徐々に低下気味になっているものの、特別に大きな変化はないということが分かります。
ただし、コロナ禍以降、オンライン商談で行われる比率が高かった「B:既存顧客対応」の項目については、注目すべき変化が見え始めています。これらの営業フェーズのメイン手段を対面へと移す傾向が顕著で、現在の調査結果では対面とオンラインそれぞれがほぼ半分ずつの割合を占めるまでに変化。これは、対面商談の重要性が再度認識された結果といえるでしょう。

「A:営業商談プロセス」の項目についても、その割合に大きな変化はありませんでした。しかし、従来より対面への依存度が高かった新規顧客への最初のアプローチに関しては、今回調査で依存程度が低下傾向に。ただし、クロージング商談・提案には変化なく、相変わらず対面が主導的な地位を占めています。

営業フェーズごとのメイン手段

対面セミナーとウェビナーの実施頻度
対面セミナーとウェビナーの実施頻度
対面セミナーとウェビナーの実施頻度
調査方法:インターネットリサーチ/調査時期:2021年05月、2020年12月/
調査対象:ビジネスパーソン(外勤営業職)/
回答者数:n=378、n=211(「この営業フェーズが該当しない」も含めての有効回答数)
※本グラフの構成比は「この営業フェーズが該当しない」の項目を除いたものです。
グラフはピンチアウトして拡大することができます。

オンラインなど非対面商談の効果検証から分かったこと

非対面商談の効果が頭打ち傾向へ

対面商談と比較した非対面商談の効果についての調査では、ほとんどの項目で「上がった」と「変わらない」の合計が60%以上となっています、このことから、オンラインなどの非対面による商談の効果は、ビジネスシーンにおいて広く認識されていることが分かります。

ただし、今回の調査では半年前(2020年12月)の結果と比べて、A、B、Cどの項目でも「効果が上がった」と答える割合が低下傾向にあることも事実です。特に「A:効率性」が上がったと答える割合が大幅に低下。中でも、「移動の時間やコストの削減」」はマイナス23%に及んでいます。

緊急事態宣言の影響で、多くの企業が必要に迫られる形で導入したオンライン商談。今ではかなりの普及率を実現するまでになっていますが、「B:営業活動における重要指標」の項目に関しては十分な効果が上がっていない部分もあることが、今回の調査で明確になったといえるでしょう。また、当初は効果ありとされていた営業フェーズでも、カバレッジ(網羅率)の拡大によるパフォーマンスの低下も見られ、対面商談も重要だとの認識は徐々に高まる傾向にあるようです。

対面商談と比較しての非対面商談の効果について

対面セミナーとウェビナーの実施頻度
対面セミナーとウェビナーの実施頻度
対面セミナーとウェビナーの実施頻度
調査方法:インターネットリサーチ/調査時期:2021年05月、2020年12月/
調査対象:ビジネスパーソン(外勤営業職)/回答者数:n=247、n=211(「答えられない」も含めての有効回答数)
※本グラフの構成比は「答えられない」の項目を除いたものです。
グラフはピンチアウトして拡大することができます。

対面をメインにオンラインも併用する商談スタイルが主流に

「今後はどのような形態で商談・プレゼンを行いたいですか」との問いに、「対面をメインの手段にする」と答えた営業職の方の割合が、69.2%となっています。商談は「対面でしか行わない」との答えは5%落ちたものの、この割合は前回調査(2020年12月)とほぼ同率になります。
今後も引き続き、多くの企業は対面とオンラインという商談手段を相手、状況に応じて使い分けていく意向のようです。

ビジネスコミュニケーションに対する今後の方向性

この1年間で実施した外部セミナーの頻度
調査方法:インターネットリサーチ/調査時期:2020年12月、 2021年05月/
調査対象:ビジネスパーソン(外勤営業職)/ 回答者数 n=551、n=378
グラフはピンチアウトして拡大することができます。

まとめ

今回は、営業現場におけるビジネスコミュニケーションについて、その手段である対面商談と非対面によるオンライン商談の今について調査し、分析しました。

今回の調査結果によると、非対面での商談活動を実施していると答えた人の割合は70%に達し、半年前の調査結果より2割増加。オンラインによる商談手法の定着化が進んでいます。一方で、オンライン商談の効果は企業が考える期待値まで現時点ではまだ到達できていないと部分もあり、対面商談を実施している企業の割合は全体の92%にものぼっています。

新型コロナウイルスとそれに伴う緊急事態宣言の影響の下、対面・非対面のどちらか一方に依存するというよりも、双方を営業フェーズなどに合わせて活用する。そうした柔軟な仕組み作りと運用こそが、コロナ禍の営業現場に欠かせないビジネスコミュニケーションのあり方のようです。

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