フィッシュ&チップスといえばイギリスを代表するファーストフードの一つ。タラなどの白身魚のフライに棒状のポテトフライを添えたものでイギリスに行ったらぜひ食べたいメニューの一つですね。手軽に食べられる庶民の味として親しまれているフィッシュ&チップス、軽減税率の対象となるか、といえばそうではないのです。その理由を探りながらイギリスの軽減税率事情を見ていきましょう。
まずイギリスの消費税を見ると軽減税率0%の品目があります。それは食品や水道水、運賃といった生活必需品です。ただしこの食料品0%の中にも細かいルールが定められています。特に注目したいのはお菓子、そしてお菓子の中でもクッキーです。
イギリスではチョコチップが入っているクッキーは軽減税率が変わってきます。このチョコ付きクッキーに限らずイギリスでは菓子類には嗜好品として標準的な税率が課せられるかどうかの線引きがあります。その中でビスケット、ケーキに関して消費税率は0%。これは、ビスケットやケーキが嗜好品ではなく、いつも消費されているという判断があるようです。
ちなみにイギリスの軽減税率を考える場合、線引きに「温度」があるのは他の国ではあまり見られないケースでしょう。実はフィッシュ&チップスもこの温度の線引きがあるため軽減税率の対象外となっているのです。
もう少し細かく言うとイギリスには気温より高く温められたかどうかで税率が変わります。当然、フィッシュ&チップスは油で揚げられているので気温より高くなり、標準税率が課せられています。ハンバーガーも同じ。冷凍品であれば、食料品扱いとなり消費税が課せられません。
では気温より低ければすべて軽減税率の対象となるかといえばそうではありません。その極端な例がアイスです。アイスクリームやキャンディはたとえ気温より低くても贅沢品扱いのため標準税率の対象になっています。
ではなぜ気温より高く温められれば軽減税率の対象外となるのでしょうか。それは同じ持ち帰りの食品ある「スーパーの惣菜」と区別するためです。お惣菜は食料品であるため軽減税率が適用され0%となっています。スーパーのお惣菜コーナーはよほどの出来立てでない限り、「気温より高い」状態で持ち帰ることは難しいでしょう。
それと比べればアツアツの出来立てを食べるフィッシュ&チップスは贅沢品。そういった解釈が「気温」という線引きをつくっているようです。当然このフィッシュ&チップスをお惣菜コーナーで買い求めれば非課税となります。家のレンジなどで温め直せば多少、味は落ちても温かいフィッシュ&チップスは楽しめないことはありません。
ただしこういった動きに対してフィッシュ&チップスの業界は反発をしているようです。軽減税率だけではなく、フィッシュ&チップスは出来立てのアツアツを食べてほしい。そんなこだわりもあるのかも知れませんね。
2016年6月