軽減税率の対象品目は食品だけと思っている方は多いかも知れません。ところが新聞もその対象となることが決定しました。でも一体、なぜ新聞が・・・?ここではその背景や理由を探っていきます。
軽減税率の導入にあたり、対象品目には食品だけではなく新聞も加わりました。ただし、同じ新聞であっても週2回以上を配達してもらう定期購読が対象になります。つまり新聞店やコンビニで買った場合は標準税率が課せられます。
新聞が軽減税率の対象となると驚く人もいるかも知れませんが、ヨーロッパではイギリス、ベルギー、デンマーク、ノルウェイといった4か国が新聞を軽減税率の対象としています。その理由を調べていくと「新聞は思索の食料や栄養源」といった考え方があることがわかります。そしてそんな思索の食べものを得るために負担を軽減していく役割を果たすのが軽減税率ということになります。
ただ新聞が「思索のための食料や栄養源」といった考え方は否定しないまでもなぜ新聞だけが?という意見もあります。たしかに雑誌や一般書籍も十分に知識を得ら、思索を豊かにしていくでしょう。
もっと枠を広げていけば映画や演劇、芸術作品などにもそういった考え方ができないこともありません。だったらスポーツはどうでしょうか。そうなってくると際限なく対象は広がっていき、消費税増税の目的である財源の確保自体が危うくなってくるでしょう。この議論は今後に委ねるとしても、食糧や栄養は毎日取らなければいけません。また何か一つに偏れば偏食となります。新聞の肩を持つつもりはありませんが毎日、摂取するという意味で新聞は年末年始や休刊日を除けば休まずに届きます。また政治経済から文化、スポーツ、国際情勢までバランス良く知識や情報を得ることができます。その意味からすると思索のための食料に一番近いのは新聞と言えないこともなさそうです。
そんな新聞が軽減税率の対象となったのは、積極的に動いたからと言えそうです。たとえば2013年に日本新聞協会は「軽減税率を求める声明」を出し、独自のアンケートを実施。「日本でも軽減税率が導入された場合、生活必需品と同様に新聞や書籍も対象とすべき」という回答を半数近い人から得たことを発表しています。こういった機運が高まっていって新聞は軽減税率の対象となっていったようです。それは新聞社にとっては願ったり、叶ったりの状況なのでしょうが、逆に新聞が軽減税率の対象となったことを危惧する意見も少なくありません。その内容は様々で紹介するスペースもありませんが、共通しているのは、軽減税率の対象になることで国の恩恵を受けてしまい、批判的な記事を書きにくくなるという意見です。軽減税率の導入まで、こういった議論はどのように展開していくことでしょうか。見守っていきたいですね。
2016年7月