軽減税率の対象となるのは食品ですが、総務庁の行った2013年から2015年までの家計調査データを見ると1年間でどの市町村がどんな食品への支出が多いかなどが書いてあるため、それぞれお国柄が出ていることがわかります。このコラムでそんな食品への支出金額を紹介しながら、その背景にある県民性や文化を考えてみました。
まず主食のお米ですが年間の支出金額も消費量で目立つのが静岡市です。一世帯あたりの支出金額は34,129円で1位。消費量は90kgでは浜松の 100kgについで2位。ちなみに米どころの新潟市は支出金額では3位。消費量では5位とあまり振るいません。
ではなぜお米の消費トップが静岡市なのでしょうか。考えられるのはやはり名産の緑茶との相性です。美味しいお茶が食卓にあればご飯も美味しくなりそうです。もちろん、おにぎりとお茶も黄金のコンビですね。緑茶部門はさすがに本場だけあって静岡市がダントツの1位の支出金額となっています。ちなみにお米の支出金額から軽減税率で負担減となる金額は年間約680円となりそうです。
今度はお米ではなく食パンを年間支出金額で見ると1位は神戸市。その理由はやはり港町として栄え、海外のパン職人や有名なパン店が多くあることが要因だと考えられます。神戸市民の年間支出金額は平均1,2000円。軽減税率で負担減となるのは年間240円となります。
主食の次はおかずを見てみましょう。ただおかずとなると際限なく広がっていきますのでここではあえて肉類だけに絞って探っていきます。肉の消費で1位のランクに輝くのは京都市で年間107,663円。
ところがこれを肉の種類で見てみると、京都市は牛肉は1位ですが、豚肉は20位以下に転落。鶏肉はなんとか2位となっています。つまり肉の支出金額1位を支える要因としては牛肉の存在が大きいことがわかります。ではなぜ京都市民は、牛肉の消費量が多いのでしょうか。考えられるのは三重県の松坂や兵庫県の三田など牛肉の名産地に地理的に近いこと。その上で比較的富裕層が多いことも影響しているのではないでしょうか。京都市民の1世帯当たりの肉の年間支出金額は107,663円。10万円で換算したなら軽減税率の恩恵は2,000円となります。
では今度はお菓子に視点を移してみましょう。お菓子全般で見ると支出金額の1位は金沢市で101,961円です。これは京都の肉に匹敵し、軽減税率の恩恵額も同じくらいです。
金沢市と言えば煌びやかな和の伝統と文化の街のイメージかありますがケーキやプリンといった洋菓子も激戦の中を勝ち抜いて1位です。ではなぜ金沢市はこれほどまでにお菓子にお金を使うのでしょうか。
その背景には金沢市が加賀藩の城下町だった頃からお茶の文化が発達し、それと共に茶の席に添えるお菓子の生産が増え、全国屈指のお菓子どころとなっていったことが推測できます。ただ和菓子だけではなく、ケーキやプリンといった洋菓子まで波及していくところには感心します。お菓子どころのプライドを死守したといったところでしょうか。
出典:総務省統計局ホームページ
2016年6月