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軽減税率に見る国民性

世界各国で導入されている軽減税率。ただし何を対象とするかは国によって微妙にちがいます。日本では意外と思われるものでも、その国の文化や国民性を反映して軽減税率の対象となっているものもあります。ここではちょっと意外な事例を集めてみました。

子ども服が軽減税率の対象になる国

アイルランドでは子ども服に軽減税率が課せられて税率はなんと0%。子ども用の靴も同じ税率となっています。またチャイルドシートは0%ではないにしても標準課税よりも低い税率となり、同じく軽減税率の対象となっています。

ちなみにアイルランドの出生率はEU諸国ではトップ。子育てに温かさのあるこの国の文化が軽減税率の線引きにも影響していることがわかります。子ども服が軽減税率の対象となっている国は他にイギリスとルクセンブルクが挙げられます。同時にチャイルドシートは、イギリス、ポーランドもふくめ計6か国あります。

ティータイムのビスケットや映画が対象の国

次にあげるイギリスの例はその国の国民でない限り、なかなか理解はできないもの。お菓子の中には贅沢品として標準課税扱いとなる商品も多いイギリスですが、ティータイムに食べるクッキーやスコーンに限っては軽減税率の対象となっています。これは紅茶を愛するこの国の国民性が反映しているようです。さすが優雅なジェントルマンの国ですね。紅茶とお菓子、この組み合わせを日本の昔からの食習慣にあてはめればお茶に羊羹、あるいはおせんべいと言ったところでしょうか。どちらもスーパー で買えば軽減税率の対象ですが、お店で食べれば標準課税の10%が掛かります。日本でも「3時のおやつの時間に限ってのみ制限税率になる」なんていうルールができれば楽しいかも知れませんね。

国の文化という観点で軽減税率を考えるならフランスは映画発祥の地だけあって映画や観劇の入場料は軽減税率の対象となっています。文化や芸術を愛するこの国らしさがそこから感じられますね。

生花が軽減税率の対象になる国

スペインでは生花や野菜の苗が軽減税率の対象となっています。実はスペインは2012年に増税を実施。そのことによって以前は軽減税率の対象だった生花に標準税率を課せられることになりました。結果、花関連の業界は売り上げが落ちるなど大打撃。特にマラガという花が地場産業の都市ではあちこちで花店のリストラや閉店が続きました。

それを見かねた日本の経団連にあたる「スペイン商業連盟」が政府に税率の引き下げを働きかけ、再び軽減税率の対象となったのです。このことで生花産業は息を吹き返していきます。やがて生花店やそれに関わる企業への雇用も増え、失業者も減っていきました。

このエピソードは軽減税率が低所得者対策はもちろん経済を元気にする事例としてよく紹介されていますが、困っている人がいたら救わずにはいられないという、この国の情の厚さも伝わってくるようです。さすが情熱の国スペインですね。

2016年7月

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