消軽減税率導入・軽減税率の前夜はどんな動きが考えられるのでしょうか。郊外のスーパーC店長の動きをシミュレーションしてみました。
ここは都内のベッドタウンと呼ばれている地域のスーパー。そのC店長は、朝から気合を入れています。それもそのはず、明日から消費税が増税され、それと共に軽減税率が食品に課せられるからです。
準備はしっかりしてきたつもりでしたが、果たしてその切り替えはスムーズにいくでしょうか。それに加えて今日のお客様の動きも気になりはじめました。予想はしていたものの、今日は開店と同時にお客様が店内にあふれています。明日からの増税に備えてまだ8%のうちにまとめ買いをするためです。
多めの仕入れを心掛けていましたが、品切れになることはないでしょうか。ティッシュやトイレットペーパーなどはお一人様一点限りをチラシでも表示してきましたが、少し心配になってきました。
店長は昼過ぎ、3階の社員休憩室に上がりました。このフロアは更衣室の他、社員食堂も設置しています。社員食堂はスタッフにはまあまあの人気です。店内の弁当を買って食べるのも外のお店に行くのも自由ですが味も悪くなく、やはり安いので多くのスタッフがここを利用しています。
スタッフのお昼休憩は交代で取るため、社員食堂はいつもなら15時過ぎまで食事の用意をしていますが、今日は14時30分きっかりに店を閉めたいとの連絡が事前にありました。明日の消費税の増税に備えて食券の値段やメニューを切り替える作業があるからです。社員食堂は軽減税率の対象にならないので税率を上げる必要があるのです。C店長は14時15分にいつものAランチの食券を買いました。
夕方18時。後1時間で早番のスタッフが帰る時間ですが、パートのレジスタッフさんは今日に限り、17時で交代にしています。それは明日の増税に備えてレジの研修を1時間受けていただくためです。増税と軽減税率に対応した新しいレジは、それほど操作は難しいわけではありませんが、対象となる品目の理解も含めて前日に学習しておく必要があります。それは遅番のスタッフも同じ。研修は社員食堂に新しいレジを置いて開催する予定です。
気が付くと先ほどから新しいレジが社員食堂に運ばれています。すべて買い替えるのはかなり経費が掛かったそうですが、国から補助金も出たので助かったという話を本部から聞いています。閉店してからは値段の貼り換え準備もしなければいけません。そのため社員の皆さんにはあらかじめ残業をお願いしてあります。スムーズな切り替えはなんとかできそうですが明日からの売り上げはどうなるでしょうか。
今日は駆け込み需要で混雑していますが、明日からは買い控えにより売上が極端に落ちてしまわないか、非常に心配です。お客様が変わらず来てくれるよう、接客態度の向上など社員教育も徹底していこうとC店長は自分に誓いました。
2016年6月