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軽減税率対応:「外食業態」は食材の仕入れルートを工夫して生き残ろう

まずは自店のFL比率を把握する

飲食店の経営指標として最も大事なものの1つが「FL比率」ですね。Food(食材費)とLabor(人件費)がそれぞれ売上の何%を占めているか、という指標です。このFL比率の目標数値は業態により異なりますが、一般的には「60%以内」に収めるのが理想と言われています。

例えば月間売上高が500万円のお店があるとします。この店舗の売上高営業利益率が5%だとすると、月間営業利益は25万円です。この25万円の利益倍増させるためには、どうしたら良いでしょうか?

通常は「売上高を倍にする」というように考えがちですが、もう1つ「コストを下げる」という選択肢があります。仮にこの店のFL比率を5%下げられたとしましょう。500万円の5%ですから、25万円です。つまり、FL比率を5%下げることができれば売上高を伸ばさなくても、25万円の利益を獲得したと同じ効果が生まれるのです。売上高を倍にするのは不可能、と感じる人は多いでしょうが、FL比率を5%下げるのは少し可能性がありそうですね。

軽減税率導入により、外食産業(飲食店)はその税率の違いにより、中食にお客様を奪われ、苦戦されることが予想されています。軽減税率が導入されてから経営が悪化したと騒がずに済むように、今から飲食店としての利益確保=コストダウンの方法を考えておきましょう。

Foodコストは比較的下げやすい

FL比率(FLコスト)を下げましょう、と言っても、人件費はなかなか下げづらいものです。人件費を削るとお客様に満足していただけるサービスが提供できず、一時的には利益率が高くなっても、顧客満足度が下がり、結果として売上が落ちてしまうことが多いからです。一方、Foodコスト(食材費)については、比較的改善できる余地が大きいと言えます。

具体的には、「食材を購入する店舗(ルート)を見直す」ということが効果的です。

飲食店経営者・店長の多くは「おいしいものをお客様にご提供する」ことには関心が高くても、「食材を安く調達する」ことには無頓着な方が多いでしょう。極端な話、店舗で使う野菜は近所の八百屋に自分で買い付けに行ったり、ひどい場合にはスーパーでラップに包まれているものを買って使っている、というケースも見聞きします。家庭の主婦が自宅で使うためにスーパーで野菜を買うことは全く問題がありませんが、大量に野菜を消費する飲食店が、一般の主婦と同じ店舗で仕入れをしてしまえば、もちろん食材費は高くついてしまいます。

飲食店が野菜を仕入れるべきは、近所の八百屋やスーパーなどからではなく、JAや農家から直接仕入れるべきなのです。JAや農家から直接野菜を仕入れることが出来れば中間マージンが乗っていないために、うまくいけば50%、通常でも30%程度はコストダウンができるはずです。先ほどの500万円月商の店舗が、FL比率が60%、Foodコストが35%だとすると175万円も食材費がかかっていることとなります。この内野菜が半額近く を占めているとすると約90万円。この90万円が30%安くなれば27万円も浮く計算となります。売上高を伸ばすよりも、食材費をコストダウン したほうが、店舗の営業利益を増やせそうですね?もちろん、仕入れルートを開拓するのはかなりの労力が必要となりますが、最近は食材の仕入 れ先開拓をサポートしてくれるサービスなども出ていますので、インターネットなどで検索してみることをおすすめします。

軽減税率導入で飲食店の売上はほぼ確実に下がる

軽減税率が導入されると、そのたった2%の消費税の違いにより、「飲食店で食べるよりも、持ち帰って自宅で食べよう」という選択をする消費者が増えるでしょう。飲食店においては、軽減税率が導入されることで売上高が落ちるのは避けられないかもしれません。実際に売上が落ちた際に「政府が、首相が」と文句を言っていても始まりません。自店の売上が落ち てしまいそうならば、対策として、今から食材の仕入れルートを見直し、同じ売上でも利益が出せるコスト構造にしておくことが大切と言えます。これまで、野菜や食材の仕入れルートなど考えたことが無かった店舗であっても、ぜひ軽減税率導入までの間に、行動をおこしてみてください。

2016年6月

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軽減税率を利用して売上を伸ばすには