軽減税率かんたんガイド
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「持ち帰りやすさ」にプラスして「食べやすさ」が軽減税率での勝負の分かれ目になる

中食業態が軽減税率適用を機に売上を伸ばす可能性大

飲食店で食事をする「外食」と、自宅で素材を調理して食べる「内食(うちしょく)」の間にある、「弁当や総菜など、外で買ってきたものを家で食べる、中食(なかしょく)」と呼ばれる業態があります。

中食をさらに細分化すると、①宅配ピザなどの「デリバリー」、②コンビニやスーパー、惣菜屋などで売っているものを買って帰る「テイクアウト」、③自宅やパーティ会場などに出張して調理をしてもらう「ケータリング」の3種類に分けられます。政府は軽減税率の適用品目として、「酒類及び外食を除く飲食料品」と発表していますが、上記①②③の内、③のケータリングだけは、軽減税率適用外の可能性があるとされています。

つまり、軽減税率導入により外食での消費税10%適用が割高と感じる消費者が増えるが、デリバリーとテイクアウトについては軽減税率が適用される(お客様の支払い総額が低くて済む)ため、中食業態にとっては更に追い風が吹くと思われるのです。これまでよりも消費者が積極的にデリバリーやテイクアウトを利用してくれる期待値が高くなりますので、この機に売上を伸ばすべく、様々な準備をしておかれることをお勧めします。

中食は「食べやすさ」もポイントとなる

特にテイクアウトについては、従来の「持ち帰りやすさ」にプラスして、「食べやすさ」を追求することが、軽減税率適用後の勝負の分かれ目になると考えられています。軽減税率適用後は、特にランチ時などは「お店で食べる(外食する)と高いから、持ち帰りのお弁当などを買って、公園や会社で食べよう」と考える消費者が増えるだろう、ということです。これまで、テイクアウトをお客様にしていただく際は「お弁当などが横(ななめ)になりづらい持ち帰り袋を用意する」などの工夫をされているお店が多いかと思います。これによりお弁当から汁がこぼれず、キレイな状態でお持ち帰りをしていただくことができますよね。

では、肝心の「食べる」タイミングにまで配慮をされている店舗はどれくらいあるでしょうか?

お箸やフォークなどをつけるのは当たり前、お手ふきをつけるのも当たり前です。でも、野菜サラダのドレッシングや調味料を「かけやすい」ように工夫はされていますでしょうか?

例えば、ビジネスマンがテイクアウトのお寿司を買って、新幹線の車内で食べるシーンをイメージしてみましょう。

お手ふきで手を拭いて、お寿司を食べようと醤油の容器を開けると、「醤油を入れる場所がない」ことに気が付きます。お店でお寿司を食べる場合は醤油用の小皿がありますので、そこに醤油を入れれば何の問題もありませんが、新幹線ではそれがありません。仕方が無く、お寿司が入っているプラスチックの蓋の端っこに醤油を垂らしてつけようとしてみますが、新幹線の揺れに合わせて醤油が蓋一面に広がってしまい、とてもではないが、醤油はつけられない・・・これではお客様の不満足度が上がってしまいます。

細かい点ですが、消費者はこういう点で不満足を感じるのです。このビジネスマンが次に新幹線に乗る際にお寿司を買う場合は、「A店の寿司はうまいけど、醤油入れがついていない」「B店のは醤油用小皿がついているけど、軽すぎて何度もひっくり返してしまった」「C店のは、お寿司の容器自体に醤油を入れる場所があるので、つけやすく、こぼしづらいから、味はA店B店とあまり違いがないけど、やっぱりここのお寿司を買おう」となるのです。

実はこの調味料のかけやすさは、テイクアウトした料理自体の味にはそんなに影響はありませんが、お客様の満足度には非常に大きく影響します。ランチタイムで時間が無い中、テイクアウトしたお弁当に調味料をかけようとしたら、「こちら側のどこからでも切れます」と書いてあるのに、全然切れない。頑張って開けようと力を入れたら調味料が飛び散って、服が汚れてしまった、という声などもよく聞かれます。調味料のパッケージメーカーも必至に開けやすい調味料袋の開発をしていますが、なかなか追いつかないようです。

そんな中、ある人気のお弁当屋さんは、「どこからでも切れると謳っている調味料袋の端に、1つ1つはさみで開けやすいように切り込みを入れて」います。非常に地味な作業ですが、このひと手間をかけることで、「ここの弁当屋はいつもソースが開けづらい、かけづらい」とお客様に不満足を感じさせないようにしているのですね。

これからはCSではなくCDSを意識する

お客様満足度のことを「CS=Customer Satisfaction」と表現し、CSアップを追求しようとしているお店が多いかと思います。でも、軽減税率適用時に他店よりも選ばれるようになるためには、「CDS=Customer dissatisfaction」すなわち、お客様不満足度を意識していくことが大切となります。

ライバル店に勝つために、満足度を高めるという取り組みと並行して、「お客様が不満足に感じていることは何か」を常に考え、そのマイナス要因を一つ一つ除去していくこと。このCDSの研究と撲滅こそが、選ばれ続けるお店になる秘訣と言えるでしょう。

2016年6月

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